語群(1~5):[えんゆう、きゅうたん、しゃか、たいこう、らそつ]
◇人夫の話では、此の懸崖の下の小沢に沿うて大白沢山へ登れるそうである。瀑から五、六町も下った所で、約一町許りの間沢は伏流となっている。四、五十分も下ると又瀑があって、上のものは三丈余り下のものは二丈余り、両瀑の間二十間程(1.キュウタン)をなしている。右岸の崖の上を高廻りするので、通過に十五、六分を要した。又一町も下ったろうと思う頃三丈近い瀑があり、夫が一曲して又五、六丈許りの滝となり、岩面を(2.シャカ )しているさまが美事である。(木暮理太郎「利根川水源地の山々」より)
◇薫子の書は既に印行せられたことがある。…(中略)…新聞は尾佐竹氏が蔵している。上に載する所は倉知本を底本とし、遠近新聞の謄本を以て(3.タイコウ )した。二本には多少の出入がある。倉知本の自筆なることは稍疑わしい。(森鴎外「津下四郎左衛門」より)
◇大師の時代には、左街に興慶宮――或いは南内ともいう――が出来た為、坊数は多少減少した。一体に左街には宮殿や(4.エンユウ )が多く、又勲貴官吏らの邸宅多くて淋しい。之に反して右街は商売の住居が多くして繁華であった。坊と坊との間には、何れも我が四五十間幅の道路があった。四つ辻の場所には、我が交番所に比すべき武候鋪というのが設置され、そこに派遣されて居る(5.ラソツ )が、城内の警察を掌った。誠に規模堂々たるもので、この時代に於ける世界の尤も立派な大都会であったと思う。我が平城・平安の二京の整然たる設計は、長安のそれを模倣したこと申す迄もない。(桑原隲蔵「大師の入唐」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[くんゆう、げいご、しど、てんこく、ふびん]
◇じっと考えて見ると私の頭の中には種々葛藤があった。之を明るみに出して見たら自分乍ら鼻持ちのならぬようなものが沢山ありそうに思えた。「さながら成仏の姿なり」と言った仏家の言をここでも思い出して、即ち此の善悪混淆、(6.クンユウ)同居の現状其のままが成仏の姿だと解釈した。(高浜虚子「落葉降る下にて」より)
◇「或いは人を天上に揚げ或いは天を(7.シド )に下ろす」と詩の理想は即是也。詩は閑人の(8.ゲイゴ )に非ず、詩は彫虫(9.テンコク)の末技に非ず。既往数百年間国詩の経歴に関しては余将何をか曰わん。思うに所謂新体詩の世に出でてより僅かに十余年、今日其の稚態笑うべきは自然の数なり。然れども歳月遷り文運進まば其の不完之を将来に必すべからず。詩は国民の精髄なり、大国民にして大詩篇なきもの未だ之あらず。本邦の前途をして多望ならしめば、本邦詩界の前途亦多望ならずんばあらず。本書収むる所余が新旧の作四十余篇素より一として詩の名称を享受するに足るものあらず。只一片の微衷、国詩の発達に関して繊芥の貢資たるを得ば幸のみ。著者(10.フビン )と雖も自ら僭して詩人と為すの愚を学ぶものに非ず。(土井晩翠「天地有情」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.急湍
2.瀉下
3.対校
4.園囿/苑囿 (大見出しでない)
5.邏卒
6.薫蕕
7.此土
8.囈語
9.篆刻
10.不敏
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