語群(1~5):[けいしゅう、しゅうせん、ちんどく、とうどう、ぼうしょく]
◇なるほど私(わし)は人間として得べきだけの福禄は得たけれど、得れば得るほど尚得たいという(1.ボウショク)の念に攻められて安穏の日とては一日もない。そして私には敵がある。兇刃、(2.チンドク )、拳銃の類が四方八方から取り巻いている。(国枝史郎「沙漠の古都」より)
◇こうして、茂太郎とムクとにからまれながら田山白雲は観瀾亭の下まで来ると、果して風流数寄な屋形舟が一つ、ちゃんとろかいをととのえて、酒席を設けて待ち構えていました。酒席の上には、当然、(3.トウドウ )の主なる(4.ケイシュウ)詩人が、今日は薄化粧して嫣然として待ちかねている。物慣れた老女が一人かしずいて席を(5.シュウセン)し、老船頭が一人船をあずかって迫らない形をしている。(中里介山「大菩薩峠 -白雲の巻-」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[がほう、しょうしゃ、たんせい、ふそう、もうせん]
◇「田山先生、ようこそ」
「いや、どうも……恐縮です」
白雲がいたく恐縮をしてしまいました。ことには、いかなれば旅絵師のやつがれ風情に、今日はこうして(6.フソウ )第一といわれる風景のところに、絶世の美人で、そうして一代の詩人に迎えられて、水入らずにお月見――美酒あり、佳肴あり、(7.モウセン )あり、文台がある。山陽、東坡のやからすら企て及ばざる風流韻事の果報なり、と心を躍らせずにはおられません。
「時に、玉蕉先生、一つお願いがあるのですが」
「改まって、何でございます」
「ここに一人の少年と、一頭のムク犬がおります、拙者の従者なのですが、(8.ガホウ )の片隅へ召しつれて差し支えございますまいか」
「ええええ、差し支えございませんとも」
「では、茂――ムク――」
白雲は茂太郎とムクとをこの船に引きずり込み、やがて、風流(9.ショウシャ)たるこの月見船は、松島湾の波の上を音もなく辷り出しました。
果たして、興は船の進むと共に進みました。美酒佳肴の用意も申すまでもなく、(10.タンセイ )翰墨の具まで備わらずということはありません。(中里介山「大菩薩峠 -白雲の巻-」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.望蜀
2.鴆毒/酖毒
3.東道 (大見出しでないが、「東道の主」は大見出し)
4.閨秀
5.周旋
6.扶桑/[榑桑]
7.毛氈
8.画舫
9.瀟洒/瀟灑
10.丹青
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