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spaceplusKK流・模試の作り方 その2

spaceplusKK流・模試の作り方 その1」の続きです。

今回は具体的にどのような手順で作成しているかについて書きたいと思います。

「続きを読む」をクリックしてご覧ください。



以下、分野ごとに分けて書きます。
問題番号は「その11」以降の新形式を基準に書いていますのでご注意ください。

(九)文章題

まず文章題から作成に取り掛かります。
なぜ文章題からかというと、問題の差し替えが最も難しいからです。
漢字の重複があると問題を変更する必要があるので、先に差し替えの難しい問題を作成しておいて、そこに含まれる漢字を出さないように他の問題を作成する方が効率良く作成できます。

さて、具体的な作成手順ですが、模試公開記事でも触れている通り、「青空文庫」から出題に適した文章を探してきます。
なかなか適度な長さで出題できるいい素材が見つからないので根気が要ります💦
特に、読み問題10問の確保が難しく、そちらを優先するとどうしても書き問題の難易度が上がってしまいます…(-ω-;)ウーン

次に、文章と出題箇所が決まったら、文章中の「異体字」「旧字」「送り仮名」「歴史的仮名遣い」などを直す作業を行います。
↓具体的にはこんな感じです。(文章は寺田寅彦の「伊香保」から)

 此頃少し身體の工合が惡いので二三日保養のために何處か温泉にでも出掛けようといふ、その目的地に此の因縁つきの伊香保が選ばれることになつた。十月十四日土曜午前十一時上野發に乘つたが、今度は掏摸の厄介にはならなくて濟んだし、汽車の中は思ひの外に空いて居たし、それに天氣も珍らしい好晴であつたが、慾を云へば武藏野の秋を十二分に觀賞する爲には未だ少し時候が早過ぎて、稻田と桑畑との市松模樣の單調を破るやうな樹林の色彩が乏しかつた。


↓(作業後)

 此頃少し身の工合がいので二三日保養のために何か温泉にでも出掛けようとい、その目的地に此の因縁つきの伊香保が選ばれることになた。十月十四日土曜午前十一時上野乗ったが、今度は掏摸の厄介にはならなくてんだし、汽車の中は思の外に空いて居たし、それに天しい好晴であたが、慾を云ば武野の秋を十二分に賞するには未だ少し時候が早過ぎて、田と桑畑との市松模調を破るうな樹林の色彩が乏しかた。


この文章は直すのが簡単ですが、中には送り仮名が変則的(?)だったり、句読点が無かったりと梃摺るものもあります。
例えば、送り仮名が標準的でないものは「横える」「側てる」など…パッと読めますか?^^; (答えは記事の最後で)

最後に、出題箇所に線を引くなどして完成です。

(七)対義語・類義語問題

次は対類問題です。
文章題ほどではありませんが、こちらもサッと問題を差し替えられるものではありませんので早めに作ります。

以前は類義語辞典をパラパラと捲りながら、出題する語のイメージを決めて作ったりもしていました。
今は出題したい語のリストを眺めながら、対類で出題できそうな語を選んでいます。

少し苦労するのが問題側の熟語です。
あまり簡単な語でもつまらないですし、かといって意味が推測できない語を選ぶと難易度が上がってしまいます。
「馴染みは無いけど何となく意味は分かる」という語が理想なので、その辺りの語を探すのに時間が掛かります。
まあ、諦めて簡単な語で出すこともしばしばありますが(苦笑)

よく使用するのが、デジタル大辞泉の「~を説明文に含む」「~を見出しに含む」検索です。
例えば、「酒のこと」「酒の異」などで「~を説明文に含む」検索をすると、酒の異称(異名)が幾つか見つかります。
また例えば、「闕」で「~を見出しに含む」検索をすると、皇居の別称が幾つか見つかります。
多少検索のコツはありますが、このような感じで対類の組み合わせを見つけていくことができます。

以上の二分野が終われば、感覚的には1/3が完成という感じです。
以降は作成の順序はそこまで気にしていませんが、大体以下の通りの順序で作成しています。

(八)故事成語

文章題の長さによっては故事成語の問題部分のスペースが狭くなり、出題文の長さに制限が出てくるので、何となくこの分野を早めに作ることが多いです。

この分野は問題を並べるだけなので、特に書くことはありませんね(笑)

(五)熟字訓

この分野も問題を選んで並べるだけです。

(四)四字熟語

ここも基本的には同じですが、問2のダミーの選び方は少し考えますね。
以前は適当に選んでいましたが、今は、何となく出題文のイメージと合いそうなもので、出来れば含まれる1級漢字が見た目からは読みにくそうなものを選んでいます。

(二)書き取り

同音、同訓の出題に苦労することが多いので、そちらをまず完成させ、その後残りの問題を作ります。
(最近は面倒なので同訓を出さないことの方が多いですが…。)
ちなみに今は、全体のバランスとして(国字2問を除いて)音熟語11問、訓読み7問で出すようにしています。

(一)読み、(二)書き取り、(三)語選択、(四)四字熟語・問2の出題文は句読点を含めて18字以内になるように作成していますが、(二)は出題部分のカタカナが文字数を食うので、それなりの制限があります。
この制限内で答えを限定するような出題文が作れないものは、語選択に回すなどの工夫しています。

出題文に悩むときは、青空文庫の使用例を参考にして作成しています。

(三)語選択

極端に言えばどんな熟語でも出せてしまうので、ある意味最も出題内容に悩む分野です。
出題者の性格が出やすく、何となくセンスが問われているような気がしてしまい、思っているより作問に時間がかかってしまいます💦

ちなみに、最近はダミーに力を入れています(笑)
ただ、確実に不正解で、かつ悩ませるようなダミーはなかなか思いつかないので、上手く出題できたと思えたことは無いですね…(-ω-;)ウーン

残るは音読みと訓読みからなる二分野ですが、この辺りで2/3を作り終えたような感覚です。

(六)音訓読み

最近は、1級漢字の送り仮名のある訓読みから、音読みが見た目そのままではない漢字を選び、その訓に対応する音熟語が無いかを探して作成しています。
そうすることで、音熟語と訓読みの出題の両方がそれなりの難易度になるように工夫しています。

(一)読み

訓読みは送り仮名のあるものとないものを大体半分ずつ出しています。
音読みは見た目そのままではない問題を中心に、大見出しを一定割合入れて出しています。
(その割合は本試験を参考にしているので、少しずつ変動しています。)

最近は、特に音読みの出題文に力を入れています。
出題箇所以外に重要語を多く鏤めて文章を作る、という個人的なお楽しみです(笑)
1級漢字が重複しやすくなって、後で修正するハメになることもあるのですが(苦笑)、こうでもしないとなかなか20問もの音読みの出題文を作るモチベーションが上がりません💦


最後に、全問完成後の流れをザッとご紹介すると…

①Wordに問題、解答をそれぞれ清書して、標準字体でない字を標準字体(外字)に変えてPDF印刷
②少し時間をおいてから問題に挑戦し、不備があれば修正して再度印刷
③ヒントの作成、印刷をして、語群に不備がないかを再度確認
④rikurokuさんのご高批を仰ぎ、特に問題が無ければ完成!\(^o^)/

…という感じです。
その後公開準備や公開後の管理などもあるので、なんだかんだで問題作り以外の作業の方が多いかもしれませんね💦



こんな感じでしょうか…?

今回の記事ではあまり触れていませんが、全体の難易度、出題バランス、過去作との兼ね合い、なども含めると気を付けることはまだまだあります。
実力を測るために妥当な内容にするとなると、なかなか一筋縄では行きません。

一方で、文章題が若干厄介ですが、細かいことを気にしなければそれなりの模試は作成可能だと思います。
模試を作成してみようと思われる方が、今後現れることを期待しております^^

作成してみたいと思われた方へのアドバイスとしては、大抵の場合…

「出題者の"簡単"」=「解答者の"そこそこ難しい"」
「出題者の"難しい"」=「解答者の"とてつもなく難しい"」


なので(苦笑)、「『簡単すぎるかも?』と思うくらいがちょうどよい難易度」、といったところですね。

長々と偉そうなことを書いてきましたが、私は初期の模試は失敗作だと思っていますし、今でもそこまで上手く作れている自信はありません。
何かアドバイスなどありましたら、ご教示いただければ幸いです<(_ _)>

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後も張り切って模試を作成したいと思いますので、よろしくお願いいたします(^^)/



途中で出てきた「横える」「側てる」の読みは、それぞれ「よこた(える)」「そばだ(てる)」でした。
常用漢字表に則ると勿論「横たえる」「側だてる」ですが、文学作品ではこのような表記も見られます。
義務教育時代送り仮名をしっかり勉強した人ほど、パッと読めなかったりするかもしれませんね…^^;
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