語群(1~5):[いばく、けんかく、さんしゃく、ひっちゅう、りゅうじょ]
◇例えば現時の文学に対しても、露伴を第一人者であると推しながらも、座右に置いたのは紅葉全集であった。また紅葉の人生観照や性格描写を凡近浅薄と貶しながらもその文章を古今に(1.ヒッチュウ)なき名文であると激賞して常に反覆細読していた。(内田魯庵「二葉亭余談」より)
◇氷河の氷の下を出て来てからまだ二時間とかにしかならぬという急流で、赤く濁ったつめたい水であったが、両岸は川楊の古木の林になっていて、ちょうどその梢が旅館の庭の、緑の芝生と平らであった。なごやかな風の吹く日には、その楊の花が川の方から、際限もなく飛んで来て、雪のように空にただようている。以前も一度上海郊外の工場を見に行った折に、いわゆる(2.リュウジョ)の漂々たる行くえを見送ったことがあったが、総体に旅客でない者は、土地のこういう毎年の風物には、深く心を留めようとはせぬらしい。(柳田國男「野鳥雑記」より)
◇月明かりを利して、ひそかに敵近き四山を巡り、やがて一高地から蜀の陣容を望んで、「こは何事だ」と一瞬、啞然とした後、左右をかえりみて、「有難し有難し。天の助けか、蜀は絶地に陣をとり、自ら敗北を待っている」と語り、本陣へ帰るやいな、(3.イバク )の参軍たちを呼び集めて、「街亭を守る蜀の大将はいったい誰か」と、訊ねた。(吉川英治「三国志 -五丈原の巻-」より)
◇一般に神話学説と云うも、其の中には、神話の起原に関するものあり、神話の解釈に関するものあり、またその研究の方法に関するものあり。此等の学説を、比較(4.ケンカク )して、勉めて公平着実の眼を以て、その何れを取り、何れを捨つ可きや、甲の説は何れの程度まで(5.サンシャク)す可きや、乙の論は如何なる点に於いて、不適当なるやを、判別するを要す。(高木敏雄「比較神話学」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[ういき、えんぶ、けんたい、こうし、ほひつ]
◇棊の由って来ること是の如く久しきを以て、若し棊に関するの文献を索めんには、厖然たる大冊を為すべし。…(中略)…明の嘉靖年間、林応竜適情録二十巻を編す、中に日本僧虚中の伝うる所の奕譜三百八十四図を載すという。其の棋品の高下を知らずと雖も、吾が邦人の棋技の彼に伝わりて確徴を遺すもの、まさに此を以て(6.コウシ )とすべし。予の奕に於ける、局外の人たり、故に聞知する少しと雖も、秋仙遺譜以下、奕譜の世に出づる者蓋し甚だ多からん。吾が邦隋唐に往来するより、奕を伝えて此を善くする者また少からず。伝うるところの談、雑書に散見するもの亦多し。本因坊あって(7.エンブ )の世に出づるに及び、蔚然一家を為し、太平三百年間、雋異の才、相継いで起こり、今則ち(8.ウイキ )を圧すという。(幸田露伴「囲碁雑考」より)
◇関白 一人。
公卿中尤も徳望智識兼修の者を以て、之に充つ。
上一人を(9.ホヒツ )し万機を関白し、大政を総裁す。(暗に公を以て之に擬す)
議奏 若干人。
親王公卿諸侯の尤も徳望智識ある者を以て、之に充つ。
万機を(10.ケンタイ)し、大政を議定敷奏し、兼ねて諸官の長を分掌す。(坂本龍馬「新官制擬定書 -慶応三年十月十六日-」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.匹儔
2.柳絮
3.帷幕
4.検覈 (大見出しで無い)
5.参酌
6.嚆矢
7.偃武
8.禹域 (大見出しで無い)
9.輔弼/補弼
10.献替
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