漢検1級模擬試験倉庫

昭和5年の新語・流行語

「捨て嘴を突く」や「鼻中の白毛は閻王の使い」といった難しい故事諺問題…。
ふと気になって、「国立国会図書館デジタルコレクション」にある古い故事・諺辞典のいくつかで調べてみましたが、見つからないですね…。
Google書籍検索で調べると、比較的新しい辞典に掲載されているようですが、いつ頃、どの程度使用されていたものなのでしょうか…(-ω-;)ウーン



とまあ、それはさておき、本題です。
色々と調べているうちに、気になるものを見つけました。
昭和5年(1930年)に出版された「現代語新辞典」
中身はいくつかの編に分かれていますが、第一編は「新語・流行語」でした。

約90年前の辞典にある「新語・流行語」…気になりませんか?^^;
実は、どんなものか気になって見始めたのですが、夢中になってしまい第一編を一気に一通り見てしまいました(苦笑)

折角なので、面白かったものをいくつかご紹介させていただきます。
とりあえず、書籍のリンクはコチラです。

長いので折りたたみます。
「続きを読む」をクリックしてご覧ください。



まず、ざっと見ただけで、我々にとって身近な語が次々と現れます。

暗示、安全第一、優越感、意識、異性、
印象、鰻上り、運河、要領がいい、遠心力、
可能性、牛耳る、喜劇/悲劇、擬人法、喫茶店、
金字塔、具体的、黒幕、科学、群集心理、
芸術、懸案、幻滅、現象、原始的、
見地、後天的/先天的、肯定、告別式、創作、
索引、錯覚、三角関係/四角関係、自意識、自我、
思索、思想、象徴、主観/客観、照明、
受動的/能動的、神秘、推理、水準、随筆、
性格、正当防衛、絶対/相対、潜在意識、組織、
素質、第一印象、第一人者、第三者、大車輪、
大団円、大量生産、体験、体現、体得、
醍醐味、胎教、対照、対話、妥協、
妥当/妥当性、単行本、端的、短歌、地下室、
中枢、著作権、痛切、痛感、月並み、
超人、鳥瞰図、哲学、伝書鳩、投機、
透視、独創、読心術、特待生、弗箱、
団栗の背比べ、どん底、投げキッス、二重人格、日光浴、
二枚舌、人間味、願い下げ、能率、白熱、
舶来、花言葉、半可通、伴奏、尾行、美術、
必然性/偶然性、批判、批評、微妙、評価、
敏感、諷刺、不可解、不可抗力、腹式呼吸、
復活、伏線、舞踏、不文律、文明、表現、
標準語、描写、眉唾もの、万年床、民衆、
無意識、模擬、模倣、八百長、弥次る、
藪蛇、欲求、雷同、立体的、臨海学校/林間学校、
類推、流転、霊感、論理、etc.


時代を考えれば当然に思えるものもありますが、中には当時は「新語・流行語」として扱われていたことに驚く語もあると思います。
他にも、「性の悩み」「中年の恋」「恋愛至上主義」などの変わった(?)項目もありました。



説明を読んで面白かったものもあります。

空間:哲学上の用語で、上下、前後、左右、遠近、長短等によって表される処の一般、即ちその範囲は無限であって、あらゆる物体の成立し得る処の場所をいう。


言われてみれば、かなり抽象的な概念ですね^^;
こういった語を現在自然に理解できているのは、学校教育のおかげだと改めて感じます。

生きる:近頃最も盛んに流行する言葉で、随分いろいろの意味に用いらる。例えば「文学に生きる」の生きるは、一身を捧げて其の道に尽くすという意味であり「人はパンのみで生き得るものでない」の生きるは、精神的の意味に用いらる。
自然:天然自然の意で、宇宙のあらゆる物象の意。また天意、神などの如く、宇宙万物を支配する絶対的な力の意に用いられる。尚、物が本来のままの状態にあって、一つも人為的工風の加えられないことに対しても言われる。
雰囲気:地球又は其の他天体を囲繞する気、即ち空気をいう。近来転じて土地についていえば、その土地には土地の雰囲気という。其の外、文芸上にては気分又は情調などの意に用う。又人間にも其の他如何なるものにも細かに観察する時は、夫々特色の雰囲気なるものがある。


こちらも言われてみれば、色んな使い方を自然(←ここも(笑))にしていることに気付かされます。

他に、この時期に新たな意味や使い方が加わったと思われるもの…

仮面:自分の本心を隠して、うわべだけ取り繕うことを仮面を冠るという。
官僚:政府の役人という意味だが、規則ずくめで応用のきかぬ頭を「官僚的な頭」等ともいう。
芝居をする:策を弄し、又誇張の態度を示すこと。
彗星:俗にほうきぼしという。その現ることの極めて稀なのと、強い光輝を発するところから、突然世に現れて眼覚ましい活動をする人物、又は人の忘れた頃に時々社会の表面に名を現して、立派な働きをする人物などを彗星的人物という。
素的:素的に面白い。素的にうまい。素的に見事だ等の素的を、いきなり形容詞的に用いられる。例えば「あの女は素的だね」とか、「この芝居は素的だ」等という。即ち「美しい」「面白い」等の形容詞にも含んでいるのである。
脱線:車台がレールより脱すること。転じて常規を逸したること。又横道にそれたことなどの意。
天麩羅:偽物。贋物、鍍金物のこと。


では、ここでクイズです!
次の説明文から、何という語の説明か当ててみてください。

①英語の「チック」に漢字を当てはめたものであるが、近来盛んに用いられる。その意は場合に依っていろいろあるが、大体、のような、らしい、としての、ふさわしい、に属する、などの意に用いられる。(漢字1字)

②こだまのこと。転じてある言説や行為に対して、社会がそれを問題とすることを□□があるという。(漢字2字)

③体育上の意味なれども、転じて周旋奔走等の意味に多く使用せらる。(漢字2字)

④本来の意は、行軍の際に隊列に遅れることであるが、今では一般に敗者の意に用いられる。(漢字3字)

⑤社会に対していう時には、その文物、制度が最高度に達して何等欠陥のない理想的な時代という意味。又個人について言われる時には、その人の一生中、最も得意の絶頂にある時という意味である。(漢字4字)


◇正解(白文字になっています)

反響
運動
落伍者
黄金時代




漢検とは関係のない記事になってしまいましたが、とても勉強になりました。

実はまだまだ面白い語があります。
ということで…続く…^^;
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コメント

戦前の明るい時代?

こんにちは。とても興味深い記事ですね。今でも色褪せない言葉がたくさん生まれていたことに驚きました。改めてこの時代が自由で平和であったと再認識しましたね。昭和5年というと、昭和恐慌が農村の疲弊をもたらし、軍国主義へ一直線という「暗黒史観」があり、そういう側面があったにせよ、一般国民は案外明るい生活を送っていたのではと思います。

勉強になります

ひでまろさん、コメントありがとうございます。
「昭和恐慌」はこの時期のことだったんですね。
歴史の断片的な知識は多少あるのですが、全体的な流れが分かっていなかったので、勉強になりました。
歴史の授業では、主要な出来事や、その直後に影響を与えた物事を中心に学びますが、当時の「新語・流行語」という全く異なる切り口で見ると、また違った「"今"との繫がり」が見えてきますね。
今でも、世界で紛争の多発している地域に対して、争いの部分だけを見て、そこにある生活を見過ごしがちですが、過去の日本に関しても、同じように一部だけを切り取って見てしまっていたのだと気付かされました。
大変タメになるコメント、どうもありがとうございました。

  • 2017/07/20(木) 12:38:41 |
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