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模擬試験その5(記事版)

「模擬試験その5」の問題と解答です。(ヒントはありません。)
問題文などは省略しておりますので、形式等にご注意ください。
(この模試は旧形式です。特に問題番号等にお気を付けください。)

「続きを読む」をクリックしてご覧ください。



(一)
1.夜ごとに枕を涕泗で濡らす。
2.侶儔とともに起業する。
3.高齢者を欺紿する犯罪が増える。
4.親鳥が雛を煦嫗する。
5.葷羶を食することを禁じられる。
6.牧場で駮騾を育てる。
7.辟雍にて若者を鈞陶する。
8.放置された庭が榛薈となる。
9.鷙悍な武将として名を遺す。
10.品位ある圭璋のような人物だ。
11.無礼な振る舞いに攘袂扼腕する。
12.淋漉する汗が会場の暑さを物語る。
13.東風剪剪として簾帷に入る。
14.燔燎の序でに芋を焼く。
15.遠陬の地にて餒斃するを愧ず。
16.古人の糟粕を嘗める。
17.過去の失敗を鍼艾とする。
18.閘室内の水位を調節する。
19.山奥で邯鄲の鳴き声を聞く。
20.役所から廩稍を与えられる。
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21.練習をったために本番で失敗した。
22.い部屋の中で何かが蠢く。
23.海鳥が灯台の周りをる。
24.盃をむる人、数多侍れり。
25.の着物を身に纏う。
26.港には多くの漁船がってある。
27.の棘が指に刺さる。
28.猫のはとても魅力的だ。
29.夢か現かって確かめる。
30.蠍は大きなを持つ。
 
(二)
1.報道にカンコウ令が敷かれた。
2.ホウレンソウを炒めて雲丹を乗せる。
3.彼は上司にテンユして出世した。
4.駕籠き駕籠に乗らず。
5.彼はまさにフンケイの友だ。
6.ハケを使って塗料を塗る。
7.議論の前に専門機関にシジュンする。
8.発展途上国でセンバコきの使い方を教える。
9.悪臭の中でシニョウの処理に奮闘する。
10.川底の砂をヨナげて砂金を集める。
11.権力を用いて人をキンショウ自在に操る。
12.師範の動きをキクとして舞踊を学ぶ。
13.キクたる尾根道を行く。
14.春は牡丹餅、秋は御ハギ
15.鴨のハギ程の距離で息を切らす。
 
(三)
1.鯔が成長してオオボラとなる。
2.今年の暦を壁にビョウで止める。
3.コガラシが落ち葉を巻き上げる。
4.センチメートル単位で測る。
5.荷物をソリに乗せて運ぶ。
 
(四)
1.かねぐらにある金銀。
2.芝居・演劇の役者。
3.ただれくずれること。
4.書物を開いて、読み調べること。
5.にっこりと微笑むさま。
 
がいさい、かんじ、しょうゆう、せいしゃ、
どへい、はだ、はんえつ、びらん
 
(五)
ア.( 1 )除根
イ.( 2 )万間
ウ.( 3 )飯袋
エ.( 4 )待旦
オ.( 5 )北轍
カ.老驥( 6 )
キ.桃傷( 7 )
ク.翠帳( 8 )
ケ.衆賢( 9 )
コ.春寒( 10 )
 
こうか、こうけい、しゅのう、せんそう、
ちんか、なんえん、ふくれき、ぼうじょ、
りふ、りょうしょう
 
11.戦の準備を怠らないこと。
12.兄弟が互いに反目して争うことのたとえ。
13.生涯を無為に送る人のたとえ。
14.災いの原因になるものを取り除くこと。
15.貴婦人の寝室。
 
(六)
1.水豹
2.木賊
3.天青地白
4.面繫
5.郁子
6.百両金
7.巻丹
8.浮塵子
9.野山薬
10.胡孫眼
 
(七)
ア 1.懾聳 … 2.懾れる
イ 3.拊搏 … 4.拊つ
ウ 5.震顫 … 6.顫える
エ 7.歛丐 … 8.歛む
オ 9.偏諱 … 10.諱む
 
(八)
1.岳麓
2.夥多
3.玉摧
4.牴牾
5.嵌入
 
6.斜陽
7.紅裙
8.寸鉄
9.擅利
10.謨猷
 
いんとう、がび、けってき、ししゅ、
しんげん、ぜってん、せんぜん、ちゅうりゃく、
らっき、ろうだん
 
(九)
1.コハクは腐芥を取らず。
2.出る船のトモヅナを引く。
3.ガイシの誤り。
4.ヘンチョウ姦を生ず。
5.子は三界のクビカセ
6.鯉が踊ればドジョウも踊る。
7.ロカイの立たぬ海もなし。
8.ホンドの基は高きを成す能わず。
9.ウツバリの塵を動かす。
10.ジュシともに謀るに足らず。
 
(十)
 私は散歩に出るのに二つの路を持っていた。一つはア.に沿った街道で、もう一つは街道の傍から渓に懸かった吊橋を渡って入ってゆく山径だった。街道は展望を持っていたがそんな道の性質として気が散り易かった。それに比べて山径の方は陰気ではあったが心を静かにした。どちらへ出るかはその日その日の気持ちが決めた。
 しかし、いま私の話は静かな山径の方をえらばなければならない。
 吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢が日を遮り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかを1.タドってゆくときのような、2.ヒシヒシと迫って来る静寂と孤独とが感じられた。私の眼はひとりでに下へ落ちた。径の傍らには種々の3.ミショウや4.センタイ、羊歯の類がはえていた。この径ではそういった5.ワイショウな自然がなんとなく親しく――彼らが陰湿な会話をはじめるおイ.伽噺のなかでのように、眺められた。また径の縁には赤土の露出が雨滴にたたかれて、ちょうど風化作用に骨立った岩石そっくりのウ.恰好になっているところがあった。その削り立った峰の頂にはみな一つエ.小石が載っかっていた。ここへは、しかし、日がまったく射して来ないのではなかった。梢の隙間を洩れて来る日光が、径のそこここや杉の幹へ、蝋燭で照らしたような弱い日なたを作っていた。歩いてゆく私の頭の影や肩先の影がそんななかへ現われては消えた。なかには「まさかこれまでが」と思うほど淡いのが草の葉などに染まっていた。試しに杖をあげて見るとささくれまでがはっきりと写った。
 この径を知ってから間もなくの頃、ある期待のために心を緊張させながら、私はこの静けさのなかをことにしばしば歩いた。私が目ざしてゆくのは杉林の間からいつも6.ヒムロから来るような冷気が径へ通っているところだった。一本の古びたオ.がその奥の小暗いなかからおりて来ていた。耳を澄まして聴くと、カ.かなせせらぎの音がそのなかにきこえた。私の期待はその水音だった。
 どうしたわけで私の心がそんなものに惹きつけられるのか。心がわけても静かだったある日、それを聞き澄ましていた私の耳がふとそのなかに不思議な魅惑がこもっているのを知ったのである。その後追いおいに気づいていったことなのであるが、この美しい水音を聴いていると、その辺りの風景のなかに変な錯誤が感じられて来るのであった。香もなく花も貧しいキ.芒蘭がそのところどころに生えているばかりで、杉の根方はどこも暗く湿っぽかった。そして筧といえばやはりあたりと一帯の古び朽ちたものをその間に横たえているに過ぎないのだった。「そのなかからだ」と私の理性が信じていても、澄みク.った水音にしばらく耳を傾けていると、聴覚と視覚との統一はすぐばらばらになってしまって、変な錯誤の感じとともに、7.イブカしい魅惑が私の心をケ.たして来るのだった。
 私はそれによく似た感情を、露草の青い花を眼にするとき経験することがある。8.クサムラの緑とまぎれやすいその青は不思議な惑わしを持っている。私はそれを、露草の花が青空や海と共通の色を持っているところから起る一種の錯覚だと快く信じているのであるが、見えない水音の醸し出す魅惑はそれにどこか似通っていた。
 すばしこく枝移りする小鳥のような不定さは私をいらだたせた。9.シンキロウのようなはかなさは私を切なくした。そして深秘はだんだん深まってゆくのだった。私に課せられている暗鬱な周囲のなかで、やがてそれは幻聴のように鳴りはじめた。束の間の閃光が私の生命を輝かす。そのたび私はあっあっと思った。それは、しかし、無限の生命に眩惑されるためではなかった。私は深い絶望をまのあたりに見なければならなかったのである。何という錯誤だろう! 私は物体が二つに見える酔っ払いのように、同じ現実から二つの表象を見なければならなかったのだ。しかもその一方は理想の光に輝かされ、もう一方は暗黒の絶望を背負っていた。そしてそれらは私がはっきりと見ようとする途端一つに重なって、またもとの退屈な現実に帰ってしまうのだった。
 筧は雨がしばらく降らないと水がコ.れてしまう。また私の耳も日によってはまるっきり無感覚のことがあった。そして花の盛りが過ぎてゆくのと同じように、いつの頃からか筧にはその深秘がなくなってしまい、私ももうその傍に10.タタズむことをしなくなった。しかし私はこの山径を散歩しそこを通りかかるたびに自分の宿命について次のようなことを考えないではいられなかった。
「課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている」(梶井基次郎「筧の話」より)



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