漢検1級模擬試験倉庫

「読み→書き」対策は本当に重要なのか

いつもお世話になっている方々に反論するのは大変心苦しいですが、自分の意見を記事にすることにしました。

内容は、「過去問の読み問題((一)の音読み)の熟語を書けるようにする」対策が果たして重要なのかという点についてです。

長くなるので折りたたみます。
「続きを読む」をクリックしてご覧ください。



「過去問の読み問題((一)の音読み)の熟語を書けるようにする」対策…長いので以下、「読み→書き」対策と書きます。

私が気になるのは以下の2点です。

①「『読み』で出題されたものが、以降で『書き』で出やすい」と言う話を度々聞くが、それは果たして本当なのか

②(仮に、それが本当だとしても、)「読み→書き」対策の学習効率が良いと果たして言えるのか


順に書きたいと思います。


まず、①に関しては、「地震予知」の問題と似た話なので、喩え話から…

「大きな地震が起こる前に動物が騒ぎ出す」という話はよく聞きますよね?
一方で「動物を観察して地震予知に成功した」という話は聞きません…なぜでしょうか?

仮に、とある犬に「地震予知」の能力があり、大きな地震の前には必ず吠えるとします。
しかし、その犬が吠える度に、地震に備える…というのはちょっと無理がありますよね。
その犬が日頃全くと言っていいほど吠えないのであれば別ですが、犬が吠える原因は地震以外にも沢山あるので、「ハズレ」が多く、予知に役立てられないことは容易に想像がつくと思います。

漢検の話に戻ると、同じように「『書き』で出題された熟語が以前に『読み』として出ていた」ことが多くあったとしても、「『読み』で出たものが以降に『書き』で出やすい」というのは論理的な飛躍があります。

実際、「『読み』で出たものが以降に『書き』で出やすい」ことを示すためには…

A.「読み」で出題されたのち、(一定期間内に)「書き」で出題された問題
B.「読み」で出題されたのち、(一定期間内に)「書き」で出題されなかった問題
C.(過去一定期間)「読み」で出題されていないが、「書き」で出題された問題
D.(過去一定期間)「読み」で出題されておらず、「書き」で出題されなかった問題

の4つに分けて数を調べてみる必要があると思います。
少なくとも「ハズレ」に当たるBの問題の数が重要になりますが、ここまで調べられた方が実際にいらっしゃるのでしょうか…?
(私はそこまで多く過去問を所持していないので、無責任で申し訳ありませんが調べられません。)

そもそも、(漢検さんの思う)重要語が「読み」でも「書き」でもそれなりに出ているので、問題が重複することは自然なことですし、「読み」より「書き」の方が一般的には難しいので、徐々に難化していれば「読み」→「書き」の順になることが多いのも当然といえば当然です。
漢検さんが意図して過去の読み問題を書き問題に変えている、とは言い切れないのではないかと考えます。


続いて②についてです。
まず、とある漢検ブログで、21-①の音読み問題を見つけたので、各種辞典に記載があるか調べてみました。

21-1音読み

:(漢検辞典)大見出しにあり、(国語辞典)記載有り
×:記載無し
:(漢検辞典)大見出し以外にあり、(国語辞典)「彫琢」で記載有り

全体的にが多いですね。

「過去に出題された書き問題はほぼ国語辞典にあるもの」とのことなので、が並ぶ語が重要と考えて良いと思います。
これを見ると、重要でない語は高々1/4程度で、「読み→書き」対策の学習効率はそれなりに高いと言えるでしょう。

では、直近の28-③ではどうでしょうか?

28-3音読み

私も調べてみて驚きましたが、×の並ぶ語が多く、重要でない語が1/2程度まで増えました。
これは流石に「読み→書き」対策の学習効率は低いということになるのではないでしょうか…?

書き問題は、熟語を少し変えたり、常用漢字の熟語を出したり、様々な難化方法があります。
一方で、音読みは、新たな1級漢字を出さないとなかなか難化させづらい分野です。
どの分野も難化しているとはいえ、難化のさせ方が異なる訳ですから、仮に以前に「読み→書き」対策が使えたとしても、今でも使えるとは限りません。

更に、28-③での並ぶ熟語のうち…

1.「卓犖(たくらく)」(ト-32)
3.「蜑戸(たんこ)」(ノ-3)
4.「棺椁(かんかく)」(コ-49)
9.「冪冪(べきべき)」(ク-39)
13.「舟楫(しゅうしゅう)」(キ-52)
14.「杲杲(こうこう)」(ソ-22)
15.「嶷然(ぎょくぜん)」(カ-2)
20.「蟾蜍(せんじょ)」(ウ-15)

と、6.「淹留(えんりゅう)」以外は「大見出し語表」にありました。
いや、「大見出し語表」の宣伝とかでは無くて(苦笑)、「大見出しの少ない漢字」=「使用例の少ない漢字」の出題が増えているために、「大見出し語表」との重複が多いのだと思います。
(「大見出し語表」は、各1級漢字に対して、それを含む大見出し語の代表を選ぶように作成しています。)
となると、益々「読み→書き」対策はマイナーなものばかりの対策ということになってしまうのではないかと懸念を持っております。


以上の事から結論を述べると、私個人としては「読み→書き」対策はそこまで重要なものだとは考えておりません。
敢えて厳しい言い方をすれば、「読み→書き」対策は
①経験則からの推測が飛躍している可能性がある
②出題の変化に対応していない
の2点から、「守株待兎」になってしまっているように思います。

序でに言うと、読み出題熟語の「意味」に関しても、チャレンジャーさんにとってはハードルが高いように思います。


今回の記事は、「読み→書き」対策を重視されている方に対しての反論を目的としているのではありません。
チャレンジャーの皆さんにとって漢検は分からないことだらけですので、リピーターさんの意見を重要視するのは自然なことです。
しかし、考え方は人それぞれですし、一部には反対意見があることもあります。
そのことを分かっていただきたいと思い、書かせていただきました。

勿論、自身の意見を押し付けるつもりはありません。
反論等ありましたら、是非よろしくお願いいたします。


最後におまけ。
使用した画像を縮小して並べると…(左:21-①、右:28-③)

音読みの難化

赤が増えているのが一目瞭然ですね…。
7年半で難化させすぎじゃないですか…?^^;
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コメント

読み→書き について

今晩は。
緻密な調査に基づいた、大変興味深いご意見だと思います。
まず、私は22-1から28-3まで21回欠かさず受検しており、過去問も15年以降のものはすべて持っていますので、難易度の変遷などはある程度把握しているつもりです。最近の難化はご指摘の通りで、それに伴って大問(一)の音読み20問も難化しています。どちらかと言うとマイナーな熟語を出題して読みづらくしているわけです。21-1と28-3を比較すると一目瞭然ですね。28-3の20問中、書取りで出る可能性のあるのは6~7問でしょうね。したがって、最近の出題傾向を踏まえれば「読みはすべて書けるようにする」は効率のよい勉強法とは言えません。ご意見に賛同いたします。
ただ、初学者の多くが学習している『分野別精選演習』は24年度までの過去問が収録されていて、音読み熟語は重要語が大半なので、「すべて書けるようにせよ」は必ずしも間違いではないと思います。

読み→書き の新出熟語は毎回出題されます。28-3では「牙籌(19-2-1)」、「盥漱(21-2-1)」、「考覈(19-1-1)」などです。一方で「根蔕」「畏憚」などはいきなりの出題です(これは対策が難しい)。要は、読み問題のうち書取りで出る可能性のあるものを自分なりに取捨選択して学習することが求められると思います。ただ、これは初学者のレベルでは容易でないので、「すべて書けるようにせよ」という、やや乱暴な論理になっているのでしょう。

余談ですが、リピーターの中には、「大辞泉または広辞苑に載っていない熟語の書取りは出題されない」という「辞書ルール」を標榜している人がいますが、28-3の「虧欠」でこのルールが崩れたようです。

以上、思いついたことの羅列になってしまいましたが、コメントさせていただきました。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2017/05/08(月) 21:02:11 |
  • |
  • #
  • [ 編集 ]

貴重なご意見、感謝いたします

ひでまろさん、コメントありがとうございます。
「読み→書き」の効率に関する点で、賛同していただいて安心しました。
訓読みの難化はなんとなく感じていましたが、やはり音読みも徐々に難化していたんですね…。

『分野別精選演習』に関しては手元に無いために触れませんでした。
そちらは重要な語が多いんですね。貴重な情報、感謝いたします。

「牙籌」「盥漱」「考覈」の例を見て気が付きましたが、元が「読み」であることから、音が一つで、かつ読みにくい1級漢字に偏っていますね。
一方で、(大見出しで無いので単純比較はできませんが)「畏憚」のような見たままの漢字や、「根蔕」の「蔕(タイ/テイ)」ような読み分けの微妙な漢字には「穴」が出来やすいということになるでしょうか。
読み問題を参考に書き対策をする場合には、その辺りを強化するとバランスが取れて良いかもしれませんね。

「辞書ルール」は確か28-③の前ごろにrikurokuさんに教えていただきました。
個人的には面白くないルールなので、ブログをしていなければ「虧欠」の件は歓迎していたと思うのですが、模試の方針を変えようと思っていた矢先のことだったので、ちょっと裏切られた気分です(苦笑)
しかし、四字熟語の「禍棗災梨」等、熟字訓の「日照雨」など、漢検さんの例外は今に始まったことではないので、振り回されないように当面は国語辞典にあるものを出す予定です。
このあたりの出題に関して、アドバイスがあれば是非よろしくお願いいたします。

貴重なご意見、どうもありがとうございました。

  • 2017/05/08(月) 22:27:39 |
  • URL |
  • spaceplusKK #hHfHWlpo
  • [ 編集 ]

非公開コメントをくださった方へ

コメントありがとうございます。
28-2と28-3の間が短かった分、28-3の後はなんとなくのんびりとした感じでいましたが、気付くと29-1まで随分近づいて来ていますね。

「読み→書き」対策されていたんですね。
「チャレンジャーさんにとって効率があまり良くない」と言いたかっただけで、対策したことが無駄ということは無いですので…。

音読み、本当に難化しすぎですよね…^^;

丁寧に書いて普段しないミスをするというのは、私だけでは無かったんですね、安心しました^^
しかし、それで合格を逃したというのは、さぞ悔しい思いをされたことと思います。
もし時間に余裕があった場合、解答用紙に書いた答えを見ずに、問題用紙に答えをサッと書いて、問題用紙と見比べるという方法もアリだ思います。
もう一度フラットな状態で解き直すことで、正しい字になる可能性があります。
ただし、(一級漢字だけの読み書きに絞れば時間短縮になると思いますが、)時間が無い場合はあまり深追いはしない方がいいでしょう。
「寿限無」は…そこまで訓練になるかは分かりません(苦笑)

残り期間からすると、過去問を深掘りするよりは、単純に解くだけの方が良いでしょうね。
ちなみに、今回の記事は"今"の意見なので、過去の模試の中には過去問を深掘りして出題したものもあります(汗)
模試の出題は、実は結構紆余曲折を経ています^^;

ネプリーグは録画しているので、後日ゆっくり見る予定です。
ちなみに、「じゃれる」は書けますよ~(笑)

最近調子に乗って記事を出し過ぎですね(汗)
色々と興味を持っていただいて嬉しいです。
ありがとうございました<(_ _)>

  • 2017/05/08(月) 23:21:18 |
  • URL |
  • spaceplusKK #hHfHWlpo
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