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1.線香の匂う物淋しい家に、おもんは全く独りぼっちになった。父親はいても、互いに生き写しな気弱さや生活上の無気力で、どちらも頼りにはならなかった。その上、おもんの稚い心には、人生の恐ろしさがラクインのように銘された。
2.龍山公には、世継ぎがない。…(中略)…――が、こういう場合にはどこにでも起こるお家騒動の例にもれず、藩論は家老派の大村組と、飽くまで、龍山公の血すじを世継ぎとするを主張する正統派との二つにわかれて、足かけ十年ちかく紛争している。というのは――この世に龍山公の血すじがまったくないのではないという事実が、ある時、老公の口から、藩論の席で、洩らされたからであった。…(中略)…そこで、羅門塔十郎のところへ、ある時、非公式の使者が訪れた。「龍山公のごラクインであるその四名のお孫たちを、ぜひとも、探し出してもらいたい。」
<ヒント> 2.「血すじ」の「孫たち」が外にいるらしい。
3.饗庭氏の抄録本もしくは和田氏の校訂本によって馬琴の日記を読んだものは、誰でもその記載の事項が細大洩らさず綿密に認められたのを驚嘆せずにはいられない。…(中略)…殊に原本は十五、六行のヨウトウ細字で認めた一年一冊およそ百余張の半紙本である。
4.御齢已に二八にして、金鶏障の下に冊(かしず)かれて、玉楼殿の内に入り給えば、ヨウトウの春を傷める粧い、垂柳の風を含める御形、毛嬙(もうしょう)西施も面を恥じ、絳樹青琴も鏡を掩う程なれば、君の御覚えも定めて類あらじと覚えしに、君恩葉よりも薄かりしかば、一生空しく玉顔に近づかせ給わず。
5.村々の同胞は、いなか者という名がふさわしくない程に、精緻なる情操と、機敏な感覚とを夙くからもって居た。それが又中央統一の新しい文化の波にヨウトウせられて、行き着くところに迷って居る原因でもあった。
<ヒント> 3.ある四字熟語から推測可能。 4.「毛嬙」も「西施」も「絳樹」も「青琴」も伝説の美女。
6.裁判所の門へはいると、一層警戒が厳しい。出入りを一々スイカする。
7.朔の日の暗きにスイカを以て燭を点すも、風強ければ数数消ゆるを嘆きたり。
8.節義の存するところ、スイカを踏んで辞せず、節義の欠くるところ、王侯の威も屈する能わず。
9.天子当年スイカを駐む、故宮に啼き老ゆ白頭の鴉。青山長(とこ)しえに是傷心の地、輦路の春風又落花。
<ヒント> 6.「出入り」する人が何者かを確認している。 8.「スイカを踏む」が慣用句。 9.「天子」が滞在するところに、「輦」も「スイカ」も「駐」まっている。ただし、「スイカ」は乗り物ではない。
<解答の表示>
1.烙印
2.落胤
3.蠅頭
4.夭桃
5.揺蕩
(3.勿論、四字熟語「蠅頭細"書"」と同じ意味です。「蠅頭細"字"」という使用例は他にもあるようです。)
6.誰何
7.燧火
8.水火
9.翠花/翠華
前季から続けてきた「同音異義問題」シリーズも今回で終了です。
難問が多かったと思いますが、最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
今季分の問題のPDFは、明日公開予定です。
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