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1.この白い雲の塊は飯縄山から戸隠山の方面へかけて、押し重なってぴったりと山の膚へ吸い付いたまま少しも先へ動かない。まるで何か知らん目には見えないが、其処に恐ろしい或る者が立ちはだかっていて、雲は其の前にショウフクして、進むことも退くことも出来ないもののようである。飯縄山のすぐ北に駢んでいる黒姫山の蒼翠は、この畏れ入った雲の群集を他所にして、空の色と共に目もさむるばかり鮮かであった。
2.聖護院八ツ橋は正真正銘の元祖なのだが、親爺はそこの長男で、然し、ショウフクであった。だから、この女と一緒になると、つぐべき家を正妻の子供にゆずる意味で、自ら家出したのだという。
<ヒント> 1.「恐ろしい或る者」を前に「畏れ入っ」ている。 2.「正妻の子供」が別にいるということは…?
3.世人この地を称して楽園と呼びまた白魔窟と呼ぶ。かつてここに遊びたる紳商某は足再びその室を出でずして鉅万の産をトウジンしたる事あり。
4.拝啓、いつも同じような、トウジンの寝言のような文句、もう呆れられる頃。西田法師は今何処に納涼して居らるるか。
<ヒント> 3.「遊び」で「鉅万(=巨万)の産」はどうなるか。 4.「トウジンの寝言」が慣用句。
5.…右思いつきたる事を筆にまかせ記せしに過ぎず遺漏誤聞もとより多かるべし、大方ショゲンの御示教をまつものなり。
6.所謂文壇に復活したる蘇峰先生は『時務一家言』に引き続いて『世界の変局』及び『大正政局史論』を出し、更に去年の夏より筆硯を新たにして『大正の青年と帝国の前途』なる一篇を公にした。…(中略)…斯くの如くして予も亦直ちに一本を求めて、閑を偸んで之を熟読せんとした。…(中略)…然し此の約束をした時にはまだショゲンを読んだ位で内容の調査にはかかっていなかった。
<ヒント> 5.読者に呼びかけている。 6.「一篇」の「内容」にはまだ至っていない。
7.この外輪山の西南部に偏して噴出した中央火口丘が即ち妙高山で、外輪山の総称である廓岳に対して心岳とも呼ばれ、頂上は嶄岩突兀として頗るキカンを呈している。
8.夏の大暑に葛衣を着し、冬のキカンに綿衣を着す。
9.全く同じ方向を意図し、甲乙の無い努力を以て進みながらも或る者は成功し、或る者は失敗する。けれども、成功者すなわち世の手本と仰がれるように、失敗者もまた、われらのキカンとするに足ると言ったら𠮟られるであろうか。人の振り見てわが振り直せ、とかいう諺さえあるようではないか。この世に無用の長物は見当らぬ。
<ヒント> 8.文の前後半で対になっているので… 9.文中に類義語アリ。
<解答の表示>
1.懾伏/懾服/慴伏
2.妾腹
3.蕩尽
4.唐人
5.諸彦
6.緒言
7.奇観
8.祁寒
9.亀鑑
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