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1.御大典の当時、全国の警察が警戒網を布いて、怪しい挙動風体の者はいちいち検挙コウインしていた頃のこと、伊勢の方面へ旅行中であった、江戸川乱歩が突如その筋の取り調べを受けたということである。
2.私はこれでも名門でな、門地から云えば徳川の連枝、もっとも三代将軍の頃、故あって家は潰されましたが、血統だけは今に続き、まず私が直系のコウイン、青年の頃から欧羅巴へ渡り、そこで一通り昆虫学を学び、帰朝したのは最近のことで。
<ヒント> 1.警察が逮捕後に行うこと。 2.「私」は「徳川」の「血統」を継いでいる。
3.えい!何という仰せだ。この忠直が御先を所望してあったを、お許されもせいで、左様な無体を仰せらるる。所詮は、忠直に死ね!というお祖父様の謎じゃ。其方たちも死ね!我も死ぬ!明日の戦いには、主従挙ってホウテキに血を注ぎ、城下に尸を晒すばかりじゃ。軍兵にも、そう伝えて覚悟いたさせよ。
4.征服しなければ自己を守り得ないとすれば、私は、原因となる対象を全部否定し、生活圏外にホウテキしてしまわなければならない。約言すれば、自箇の天性があれほどいつくしみ信じ、暖く胸に抱いて来た愛の、対人的可能を、絶対に否定し尽さなければならないように見えて来たのです。
<ヒント> 3.「ホウテキに血を注ぎ」が戦いで死ぬことの喩え。 4.「否定」を具体的な行動で表している。
5.吾人は、日本女性の典型として、才徳兼備の皇后として、偉大にして慈愛深き国母として、明治天皇を輔佐し奉りたるコントクの一端を頌せんが為に、左に前宮内大臣伯爵田中光顕の実話を掲げて、茲に筆を擱かん。
6.私は日本へ帰ってから『希臘紀行』の小著を世に公にしたが、その一部を夫人に贈呈することを忘れなかった。すると夫人はやがてコントクなる謝辞を以て答えられた。
<ヒント> 5.「皇后」とあるので…
7.このごろ咲くものに、柿の花と馬齢薯の花とがあります。どちらも実を結ぶ事が出来たらそれで十分だ、その他のものは一切贅沢だといったような、ごくカンボクで質素な花です。
8.見わたすかぎり、草とカンボクの生え茂った平原であります。真っ青な空は、奥底の知れぬ深さを有していたし、遥かの地平線には、砲煙とも見まがうような白い雲がのぞいていました。
9.文章は宿構の如くに何の滞るところも無く、筆札は遒麗にして二王の妙をあらわした。それは其の筈で、何もこしらえ事をして飾り立てて我が国のことを記したのでもなく、詞藻はもとより大江の家筋を受けていた定基法師であり、又カンボクの書は空海道風を去ること遠からず、佐理を四五年前に失ったばかりの時代の人であったのである。
<ヒント> 9.「又」の前の部分は「文章」について、後の部分は「筆札」について書かれている。
<解答の表示>
1.拘引/勾引
2.後胤
3.鋒鏑
4.放擲/抛擲
5.坤徳
6.懇篤/悃篤
7.簡朴/簡樸
8.灌木
9.翰墨
(9.文中の「空海」「道風」「佐理」は皆「三筆」や「三蹟」に数えられるような能筆家の名です。)
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