漢検1級模擬試験倉庫

「~する」型書き取り問題その1

先日の本試験の文章題では、「(漢字一字の音読み)する」という動詞の書き取り問題が出題されました。
同じような動詞を調べて、青空文庫の文章を元に書き取り問題を作成しましたので、今週から毎週火曜日に出題していきます。

当初は通常の書き取り問題のつもりで制作したのですが、折角なので語群から読みを選択する形式で記事にしてみました。
…が、恐らくそのままでは相当難しくなってしまったと思いますので(笑)、早い段階でヒントを使用することをオススメします。
頭を捻って超難問に挑戦したいという方のみ、ヒントなしで挑戦してみてください。
(ヒントがあってもそれなりに難しいとは思いますが…)

1つの記事で5問×2題=10問を出題します。
なお、多くの漢字で「(漢字一字の音読み)する」と使うことが可能ですが、ここで出題するのは「広辞苑」「大辞泉」「大辞林」のいずれの辞典にも項目として載っているものだけです。
いずれにせよ全体として出題の可能性の高いものではありませんが、変わった意味での使い方のものも出題しておりますので、楽しんで挑戦していただければと思います。



文章題書き取り問題(選択形式)です。

語群(1~5):[ ぎょじょせんばい ]

1.この秋、藤原忠平は、摂政をかねて、太政大臣に()せられた。

2.老君、予の玉璽を返さず、帝位を()して、さらに世を紊す。

3.芸を售って口を()するのを恥辱とせぬと同時に、学問の根底たる立脚地を離るるのを深く陋劣と心得た。

4.一時の術を用いて下民を()しその知徳の進むを待つとは、威をもって人を文明に強ゆるものなり。

5.彼が懸命の労働は旧に()して著しく人の目に立った。

<ヒントの表示(1~5)>

語群(6~10):[ きくきょそうそくりく ]

6.さほど大事なものならば、日に千人の小賊を()して、満圃の草花を彼らの屍に培養(つちか)うがよかろう。

7.われわれの心が私を去って天に()しているかぎりは、清浄心になっているかぎりは、それは悪いことはない。

8.一行阿闍梨、陛下万里に行幸して、聖祚疆り無からんと()したり。

9.技巧頗る幼稚なれども、亦()す可き趣致なしとせず。

10.この小房の縁に()して前栽に対する時は誰でも一種特異の気分が湧く。

<ヒントの表示(6~10)>



<解答の表示>


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コメント

う~ん難問

おはようございます。

難問ですが良い訓練になりました。
昨今の文章題を見ると是非対応したいシリーズです。

ヒント無でチャレンジ
9.鞠 「やしなう」ような意味かと思いました。
10.居 うずくまる意味だったんですね~

楽しかったです。
このシリーズ楽しみです。
ありがとうございました。

  • 2019/02/19(火) 10:07:51 |
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  • rikuroku #-
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踞して掬すべき問題?(笑)

rikurokuさん、コメントありがとうございます。
ヒントなしで殆ど正解されたようで、流石ですね。

「掬すべき~」というのは慣用表現みたいになっているようですね。
実際の文章題だと二字と思い込んで、「危懼」と書いてしまいそうな気もします💦

「キョする」は「居」が真っ先に思い浮かびますよね。
今回の設問だと不正解とはしづらいのですが、このシリーズでは一般的に使われている「~する」を学ぶことを目的としているので、解答には載せませんでした。
「踞す(る)」はどの国語辞典でも「腰をかける」という意味で載っているので、漢字そのものの意味とは少しズレがありますね。

来週以降の問題も準備しているので、よろしくお願いします。
こちらこそありがとうございました。

  • 2019/02/19(火) 11:35:52 |
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  • spaceplusKK #hHfHWlpo
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30-3の「嘱して」

音読みサ変動詞は、読みの候補が多く、意味を文脈に照らしてかなり精確に摑まないと答が浮かんでこないので難しいですよね。私は奏の字が出てきませんでした。また、人を対象として「馭する」ってのはあんまりですね笑

ところで、30-3文章題で出題された「嘱して」は、どういう意味で用いられているのだと思いますか?漢検2や大辞林を見ても、何かしっくりこないのです。「之に」が一觥を指すならば、委ねるとか望みを託すとかことづけるというのは変ですし、話を聞いている人たちを指すのだとしても、その後の台詞と本当にマッチしているのかなあと。今回の試験では、これが最も手も足も出なかった感のある問題でした。

  • 2019/02/20(水) 12:35:06 |
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  • ユキノシタ #-
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追加

パスワードを設定しておらずコメントが編集できなかったので重ねてのコメントになることご容赦ください。

帝位を「擅」するというのは考えられないでしょうか?老君なので、帝位に久しく在ったとも思われ、僭もあるかもだけど、在位中に好き勝手したというニュアンスがマッチしそうかなと思ったのですが。

  • 2019/02/20(水) 12:44:37 |
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  • ユキノシタ #mQop/nM.
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「嘱」について調べました

ユキノシタさん、コメントありがとうございます。

この形の問題は確かに答えの候補が多くて、推測して当てるのはかなり難しいですね。
文脈を理解するのは勿論大事なのですが、それだけでは限界があると思ったので、比較的使用例の多いものを知っておくことを目的にこのシリーズを作成しました。
どういう漢字が「~する」と使われやすいかということを感覚的に摑めれば、推測の手がかりになると思います。

「馭する」は私も正解かと思ったのですが、どの国語辞典でも説明を分けていたので、解答には含めませんでした。
比喩と思えば当てはまりそうな気もしますが…それもちょっと変ですかね…?^^;

文章題の「嘱して」は私もしっくり来ていませんでした。
「まかせる」というニュアンスがあるので、「酔いにまかせて」というような感じなのかと思っていたのですが、改めて調べてみるとそうではないようです💦

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1281028/74
↑こちらの「教科書」では「嘱」のルビが「ツゲテ」と読めます。
従って、辞典の意味で言うと「ことづける」意が考えられるので、「之」は、「衆優」なのか、もしくは、少し前の「人をして衆優を招かしむ」の「人」なのかは分かりませんが、「一觥」ではないようです。

改めて文章を見てみると、「衆優」は「殺されるかもしれない」と思っているので、その場にいないということでしょうか…?
そう考えると、「ことづける」として意味が通じるようにも思います。

いずれにせよ、解釈の難しい部分だと思うので、試験として妥当だったかは微妙な感じですね…。

「擅する」に関しては、調べた範囲では使用例は見つかりませんでした。
「擅(ほしいまま)にする」という慣用表現があるので、この形では使われないのでしょうね。
また、「予の玉璽を返さず」との繫がりからも、老君が「帝位」を完全に自分のものには出来ていない状況と見るのが自然ではないでしょうか…?
加えて、「権力」などではなく「"位"をほしいままにする」といった表現が適切なのかも気になりました。

文章の前後をもう少し長めに取っておくべきだったかもしれませんね…。
いずれにせよ、「嘱」のように完全に理解できる問題が出るとも限らないので、「~する」という使用の多い漢字を優先して覚えておくのが無難だと思います。
意味に当てはまる漢字を答える問題ではなく、一般的に使用されている表現を答える問題だと考えていただければと思います。
どうもありがとうございました🙇

  • 2019/02/20(水) 13:56:58 |
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  • spaceplusKK #hHfHWlpo
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なるほど

嘱については、ご説明にストンと落ちました。話している相手がどういう状況だったかについてちゃんと意識ができていなかったようです。目の前にいないからことづけるというのは、自然ですね。ただ、ことづけるの意から嘱の字が本番で浮かんだかと問われれば、私の実力では難しかったと思います。

擅についても、使い方の理解が曖昧だったことがよく分かりました。確かにここは僭の方が適当ですね。

今日ここでコメントをやり取りさせていただいて、大変勉強になりました。ありがとうございました。

  • 2019/02/20(水) 18:07:01 |
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  • ユキノシタ #-
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わざわざありがとうございます

こちらこそ、ご質問いただいて色々と勉強になりました。
正直、「嘱する」に関する上の説明は、自分でも納得していない点があるのですが、漢検さんが解説してくれそうにもないので、これはこのまま放置することになりそうです(苦笑)

また何かありましたら、お気軽にご質問いただければと思います。
こちらこそわざわざありがとうございました。

  • 2019/02/20(水) 19:02:04 |
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  • spaceplusKK #hHfHWlpo
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度々すみません

昨日は納得した気になっていたのですが、改めて問題の文章を読み返すと、「騈首俯伏して、敢えて仰見」しなかったとあり、また「其の自る所を問」われて「皆俛首して答えず」とあるので、やはり衆優は白猿の目の前にいたと考えるのが自然な気もします。大字典には字義として「つげる」というのが載っていたので、(それでも言い付けるとかたのむとかいう意味も含んでいるようですが)その意味で使われてるんだと考えることにします。

そうだとしても、漢検2に意味としてすら載っていないところから出すのはどうなのかという気持ちは正直なところありますが、余りあれこれ言っても詮無いことなので、この問についての考察はこの辺までとし、今の自分に足りないところの学習を粛々と進めていきたいと思います。

記事とは直接関係のないコメントで何度も失礼しましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

  • 2019/02/22(金) 00:13:16 |
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  • ユキノシタ #mQop/nM.
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恐らくこれで解決です

こんばんは。
改めて調べた結果、もう一つ資料が見つかりました。

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/864490/15
同じエピソードが少し異なる言葉で書かれています。
ここでは「白猿大いに酒饌を具え、自ら一觥を飲し、且つ之に嘱して曰く」の部分が「白猿酒饌を具え欣然として大白を挙げ衆に嘱して謂って曰く」となっているので、「之」は「衆」ということみたいですね。

更に、「嘱」には「サス」という字が振ってあるように見えるのですが、これは流れでいえば「杯を"さす"」=「酒を勧める」ということになります。
「嘱」を調べてもそのような意味はなかったのですが、「属」を調べると次の単語が見つかりました。

属酒(さけをしょくす/ぞくしゅ/しょくしゅ):杯をさす。酒をすすめる。
属客(かくにしょくす):客にすすめる。

ということで、どうやらこれが本来の意味のようですね。
上のリンクの漢文教科書の「ツゲテ」は、間違った解釈をしたのだと思われます。

使用例を調べてみたところ、「赤壁の賦」(下のリンク)の「挙酒属客」のように、「酒を挙げて(人)に属す」「杯を挙げて(人)に属す」の形が比較的目立ちました。
http://manapedia.jp/text/3889
(ただし、ここでは「属(すす)める」と読んでいます。)

また、読みは「しょく(す)」ではなく「さ(す)」でしたが、「嘱(囑)」でも同じ意味での使用例がありました。
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=1xvDax7_nzgC&dq=%E6%9D%AF%E3%80%80%E3%81%AB%E5%98%B1%E3%81%99&q=%E5%98%B1#v=snippet&q=%E5%98%B1&f=false

振り返ってみると、「自ら一觥を飲し、"且つ"之に嘱す」とあるのですから、「自分で飲んで、かつ、皆にも勧めた」というのは自然な流れですね。

いずれにせよ、漢検辞典や国語辞典の「属する」「嘱する」の説明では理解できませんし、もっと言えば意味欄を完璧に記憶していたとしても理解できない文章なので、超難問であることに間違いはありませんね…。

いい加減な調査で惑わせてしまい、大変申し訳ありませんでした。
こちらこそ色々とありがとうございました。

  • 2019/02/22(金) 03:22:06 |
  • URL |
  • spaceplusKK #hHfHWlpo
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感嘆

こんな時間までこんな丁寧な調査をしていただけるとは!恐縮するとともに、用例の確認が丁寧であることが模試倉庫さんの真骨頂だとひでまろさんが仰っていたのを思い出しました。

この手の問はもう捨てていいかなと思い始めたところでしたが、例えば「属杯」を知っていれば答えられた可能性があると思えば、全問取りにいく気持ちを維持できそうです。

  • 2019/02/22(金) 07:02:46 |
  • URL |
  • ユキノシタ #mQop/nM.
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万能な「属する」

今回は他にも厄介な問題があったのでそこまで気にしていませんでしたが、調べてみるととても奥の深い問題でしたね。

「属」を調べてみると、「耳目を属す」「文を属す」「意を属す」「腰領を属す」といった言葉が見つかり、「属する」の使い方は意外に広いようです。
適当な訓が見つからない場合に何でも「属する」で済ませてきたということかもしれませんね(笑)

態々ご丁寧にありがとうございました😊

  • 2019/02/22(金) 11:23:17 |
  • URL |
  • spaceplusKK #hHfHWlpo
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