語群(1~5):[きゅうせき、きょうあい、こんこう、さいはい、るし]
◇一見すれば其の名望甚だ広大なる如くなれども、実は漠然として定形なき名望のみ。侯と利害(1.キュウセキ)を同じゅうするものは、伊東巳代治、末松謙澄、金子堅太郎の二三あるに過ぎずして、其の領分は頗る(2.キョウアイ)なるものなり。井上伯に至りては、殆ど純然たる政友を有せず、其の有する所のものは、山県侯の系統に属する人物にして、伯に専属するものにはあらじ。(鳥谷部春汀「明治人物月旦(抄)」より)
◇彼等は時によっては怖れて控え目にしつつ身体が萎縮(すく)んだように成って居る程物に臆する習慣がある。然し恁(こ)うして(3.サイハイ )のみが聚まれば殆ど別人である。饂飩が竭きて茶碗が乱雑に投げ出だされた時夜の遅いことに無頓着な彼等はそれから暫く止めどもなく雑談に耽った。彼等は遂に自分の村落(むら)に野合の夫婦が幾組あるかということをさえ数え出した。そっちからもこっらからも其が数えられた。勿論畢(しま)いには配偶の欠けたものまで(4.ルシ )された。(長塚節「土」より)
◇聖人偉人帝王豪傑は、星辰之に符し、雲気之に応ずるものとして信ぜられて居たことは、歴史や雑書が吾人に語るところであるから、望気の術が軍陣以外の事を包含して居たことも自ら明らかである。譬えば猶支那の占卜の道の書たる易が軍旅の事を説くこと甚だ多しと雖も、恋愛(5.コンコウ )の事をも説かざるに非ざるが如しで有ろう。(幸田露伴「努力論」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[きゅうしゅう、こうえい、ごうしゃ、こうそう、そんじょう]
◇それ等が悉くすぐに大きくなって、手の付けられぬ泥棒猫になってしまい、そうして又次の子を育てるのである。余り毛色がよく似て居る為に、世代を算えて置くことは不可能であったが、どう考えてももう十何世の(6.コウエイ )にはなって居る。それが不思議なことにはさして老猫の数が増しもせず、又どうして終わりを取るかも知ることが出来ぬ。(柳田國男「どら猫観察記」より)
◇往昔、兵馬(7.コウソウ )武門勇を競い、風流まったく廃せられし時と雖も、ひとり茶道のみは残りて存し、よく英雄の心をやわらげ、昨日は(8.キュウシュウ)相視るの間も茶道の徳に依りて今日は兄弟相親しむの交わりを致せしもの少なしとせずとやら聞き及び申し候。まことに茶道は最も(9.ソンジョウ )の徳を貴び、かつは(10.ゴウシャ )の風を制するを以て、いやしくもこの道を解すれば、おのれを慎んで人に驕らず永く朋友の交誼を保たしめ、また酒色に耽りて一身を誤り一家を破るの憂いも無く、このゆえに月卿雲客または武将の志高き者は挙ってこの道を学びし形跡は、ものの本に於いていちじるしく明白に御座候。(太宰治「不審庵」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.休戚
2.狭隘/[狭阨]
3.儕輩
4.僂指
5.婚媾 (大見出しでない)
6.後裔
7.倥偬
8.仇讐 (大見出しでない)
9.遜譲 (大見出しでない)
10.豪奢
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