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1.乗っているのは信長の寵臣、森右近丸と云って二十一歳、秀でた眉、鋭い眼、それでいて非常に愛嬌がある。さぞ横顔がよいだろう、そう思われるような高い鼻、いわゆるコウシそれを蔽いて、軽く結ばれている唇は、紅を注したように艶がよい。
2.キリスト教の演説会で演説者が腰を掛けて話をするのはたぶんこの講師がコウシであるかも知れない(満場大笑)、しかしながらもしこうすることが私の目的に適うことでございますれば、私は先例を破ってここであなたがたとゆっくり腰を掛けてお話をしてもかまわないと思います。
<ヒント> 1.「コウシ」を唇が蔽っている。 2.「先例を破って」行うので…
3.古今、支那・日本の風俗を見るに、一男子にて数多の婦人を妻妾にし、婦人を取り扱うことカヒの如く、また罪人の如くして、かつてこれを恥ずる色なし。浅ましきことならずや。
4.腕の傷は、暫くして分厚いカヒとなった。
<ヒント> 3.酷く扱われるような女性。
5.相撲放送の解説者はまことに好ましい音声を聞かしてくれる。私は場所になってそれを聞くのをショウカンの楽しみとしている。
6.今やショウカンに翻々たるの花旗はすでに天涯地角、至るところの人をして尊敬せしむるの力を有せり。かのローマ人民が世界を征服せんがために生まれ出でたるごとく、この人民は海上を支配せんがために生まれ出でたる者なり。
7.しかれどもことすでに爰に至れば、刺しちがえ・切り払いの両事を受けざるは、かえって激烈を欠き、同志の諸友また惜しむなるべし。吾といえども、また惜しまざるにあらず。しかれども反復これを思えば、成仁の一死、区々一言の得失にあらず。今日、義卿、奸権のために死す、天地神明ショウカン上にあり、なに惜しむことかあらん。
8.版籍司ありて戸口、土田、租税、賦役、貢献、勧課、農桑、豊凶考験及び賑貸、斂散等の事をショウカンせしむ。
9.余羽州より還るに、奥州の下戸沢を過ぎ、所謂材木巌を観る。巌矗矗(ちくちく)として聳え立つ。高さ数千仞。上はショウカンに摩り、幅数百間。下に一渓有り、清冽鏡の如し。
<ヒント> 6.「海上」の「花"旗"」はどこに掛かっている? 7.「御天道様が見ている」とはちょっと違いますが… 8.「版籍司」という役所の役割を列挙している。 9.「ショウカンに摩り」そうなほど高く聳えている。
<解答の表示>
1.皓歯
2.嚆矢
(2.ダジャレがウケていますね(笑)それにしても演説内容を耳で聞いているだけの一般聴衆が、「嚆矢」を瞬時に理解して笑っているというのが驚きです。当時(明治二十七年)は知っていて当たり前の言葉だったということですね。)
3.下婢
4.痂皮
5.消閑
6.檣竿
7.照鑑
8.掌管
9.霄漢
(5.「消閑の具」「消閑の器」「消閑の法」「消閑の慰み」など様々な表現があります。
9.「摩天楼」は「skyscraper」の訳のようですが、「霄漢に摩す」という似た表現が出てくるのは偶然なんでしょうか…?)
(お知らせ)
年末年始のため、来週の定期記事はお休みさせていただきます。
再来週からは、木曜日は「同音異義問題」シリーズを続けますので、新年の記事もよろしくお願いいたします。
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