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1.三百年も天下太平を齎した徳川家が、ヘイカも交えずして、こんなに簡単に政権をなげ出すとは、不思議千万である。
2.人間が、たとえば、一個の林檎について抱き得る観念の多様性。単に卓子の上にあるそれを見るためのみにも、その頸をのばさなければならない小児の眼に映じたヘイカと、それを取り上げ、主人らしい品位をもって客の前に差し出す、一家の主人の眼に映じたヘイカと。
<ヒント> 2.文中に類義語あり。
3.彼等は食うべき米を得ることが出来ない。そして富家と米商とが其の資本を運転して、買い占め其の他の策を施し、貧民のコウケツを涸らして自ら肥えるのを見ている。
4.袋の底に滓のようになった簑虫の遺骸の片々が残っていた。虫の汁気はことごとく吸い尽くされて、一つまみの灰殻のようなものの中に、堅い褐色の口ばしだけがそのままの形をとどめていた。灰色のコウケツの底に朽ち残った戦衣のくずといったような気もした。
5.夷鑑数々我が辺海を窺い、上国復穏やかならず、正之聞き遽かに京師に帰る。其の京師に入るや、毎に先ず三条橋上に至り、遥かにコウケツを望み、地に跪き叩頭して曰く、「草莽の臣高山彦九郎」と。
<ヒント> 4.「簑虫の遺骸」の入った「袋」を、人の遺体の入った何かに喩えている。 5.「京師」にあり、「跪き叩頭」する対象がいる場所は?
6.この久米はもう弱気ではない。そしてその輝かしい微苦笑には、本来の素質に鍛錬を加えた、大いなる才人の強気しか見えない。更に又杯盤狼藉の間に、ショウヨウ迫らない態度などは何とはなしに心憎いものがある。
7.新社長が言うに、自分はいままで自分の生命として政治に、自分の力量のあるだけを尽くしてきた。齢すでに七十を越して、このうえ望むべき何もない心底であった。ところが図らずもこのたびある人から、報知新聞社長就任のショウヨウを受けたのである。
8.矢野さんの庭の大きな欅に、雷が落ちたのでした。その姿を、翌朝、青空のもと、晴れやかな陽光のなかに、立川一郎は仰ぎ見ました。彼は瞑想に耽りながら、焼け跡をショウヨウし、もはや人込みが少なくなった頃、電車に乗り、正午近くなって会社へ出ました。
9.尚々、先月下旬より今以てショウヨウ不治、且つ多用、且つ短日中、不眼の禿筆走書、よめかね候処多く候半(そうらわん)。
<ヒント> 6.通常は「ショウヨウとして~」と使われる。 9.「不治」=「治らず」とあるが、深刻ではない。
<解答の表示>
1.兵戈
2.苹果
3.膏血
4.壙穴
5.皇闕
(5.文中の「草莽の臣」は特殊なニュアンスを持つと思われる。参照:Wikipedia「草莽」)
6.従容/縦容
7.慫慂
8.逍遥
9.小恙
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