対義語・類義語問題です。1~5が対義語、6~10が類義語の問題です。
1.静謐 2.亮然 3.開披 4.兵乱 5.軋轢
6.山谷 7.偏私 8.首魁 9.勅許 10.匍匐
語群:[えこ、えんぶ、きょはく、けんごう、しゅうぼく、
せいか、はこう、ふうかん、ぼうばく、らんがく]
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1.けんごう 2.ぼうばく 3.ふうかん 4.えんぶ 5.しゅうぼく
6.らんがく 7.えこ 8.きょはく 9.せいか 10.はこう
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1.喧囂/諠囂
2.茫漠
3.封緘
4.偃武
5.輯睦/[輯穆]/[緝穆]
6.巒壑
7.依怙
8.巨擘
9.制可 (大見出しで無い)
10.爬行
語選択問題です。
1.にらみつけて勢いを示すこと。
2.まわりをとりかこむこと。
3.いつわり、あざむくこと。
4.自分の思いのままに事を行うこと。
5.二人の才子。
語群:[いじょう、きさ、きょうしゃ、ざんぶ、
せんせん、ちゅうびゅう、へいげい、れんぺき]
6.おそれかしこまること。
7.結婚すること。
8.うったえごと。
9.杓子定規に考え、融通のきかないこと。
10.官位を下げて退けること。
語群:[かしゅ、きょうこう、こうちゅう、こうれい、
しょうごく、ちゅっちょく、はいき、へんせき]
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1.へいげい 2.いじょう 3.きさ 4.せんせん 5.れんぺき
6.きょうこう 7.かしゅ 8.しょうごく 9.こうちゅう 10.へんせき
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1.睥睨/俾倪
2.囲繞/[囲遶]
3.詭詐
4.専擅
5.連璧/[聯璧]
6.恐惶
7.嫁娶
8.訟獄
9.膠柱
10.貶斥
文章題書き取り問題(選択形式)です。
語群(1~5):[こうか、しゃくごう、とつとつ、ばくしん、れいろう]
◇ところが先生ひとたび意を決して国のため社会のためにこれなりと認めると、如何なる反抗があっても生命を賭して(1.バクシン )する。即ち破壊的大運動をなすのである。(大隈重信「明治文明史上に於ける福沢翁」より)
◇専ら野馬を猟りて食った時代は措(さしお)き、(2.コウカ )乗駕馬を労する事多き人が、その上にもこれを殺し肉を食い皮を用いなどするは、創持つ足の快からぬところから出で来った馬鬼の話が諸国に多い。(南方熊楠「十二支考 -馬に関する民俗と伝説-」より)
◇第十九世紀英国政治の事実は実にこの二分子交闘の事実なり。かの千古の奇男子たるビーコンスフィールド侯をして神出鬼没の政略を採り、欧州政治の大舞台において(3.トツトツ )驚くべき怪しむべきの奇舞を演ぜしめたるゆえんのものはこの旧分子の力なり。かのコブデン、ブライトの二氏をして古今の政治演劇中にいまだかつて見ざるかのシェイクスピアの(4.レイロウ )なる脳中にすら浮かみ来らざる新趣向・新脚色の技を演ぜしめ、かの反対者流をして二氏を指して民政の胎内より出で来りたる近世のグラッカス〔ローマの民権家ティベリウス、ガイウスの兄弟〕と(5.シャクゴウ)せしめたるはこの新分子の力なり。(徳富蘇峰「将来の日本」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[いぼう、おうくつ、きんかい、しどう、とうび]
◇…さて佐渡守が職に就いて、その裁決を下したのを見れば、調査は明細、判断は公平、関係人諸役人を始めとして、不安の眼で眺めておった満都の士民を、あっといわせたので、周防殿にも勝る佐渡殿よとの取り沙汰俄かに高く、新所司代の(6.イボウ )信任はたちどころに千鈞の重きを致したという。
そもそもこの疑獄については、重宗は夙くより最もその意を注いで、調査に調査を加え、既に判決を下すばかりになっていたものであるが、辞職の際の事務整理に、故にこれのみを取り残し、詳細なる意見書を添えて佐渡守に引き継ぎ、佐渡守はただ板倉の意見をそっくりそのまま自分の名で発表したのに過ぎないのであった。(7.トウビ )の大功を惜しげもなく割愛して、後進に花を持たせた先輩の(8.キンカイ)、己を空しゅうして官庁の威信を添えた国士の態度、床しくもまた慕わしき限りではないか。(穂積陳重「法窓夜話」より)
◇此の故に当世の文学者は口に俗物を斥罵する事頗る甚だしけれど、人気の前に(9.オウクツ)して其の奴隷となるは少しも珍しからず。大入りだ評判だ四版だ五版だ傑作じゃ大作じゃ豊年じゃ万作じゃと口上に咽喉(のど)を枯らし木戸銭を半減(はんまけ)にして見せる縁日の見世物同様、薩摩蠟燭てらてらと光る色摺り表紙に誤魔化して手拭き紙にもならぬ厄介者を売り附けるが(10.シドウ )の極意、当世文学者の心意気ぞかし。(三文字屋金平「為文学者経」より)
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1.驀進
2.耕稼
3.咄咄
4.玲瓏
5.綽号 (大見出しで無い)
6.威望 (大見出しで無い)
7.掉尾
8.襟懐
9.枉屈
10.斯道
対義語・類義語問題です。1~5が対義語、6~10が類義語の問題です。
1.横禍 2.悄悄 3.高僧 4.狭隘 5.父祖
6.遜位 7.鶉衣 8.四海 9.戦慄 10.根蔕
語群:[かんう、きし、ぎょうこう、くうかつ、げろう、
こうえい、しんく、ぜんじょう、はつらつ、らんる]
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1.ぎょうこう 2.はつらつ 3.げろう 4.くうかつ 5.こうえい
6.ぜんじょう 7.らんる 8.かんう 9.しんく 10.きし
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1.僥倖/徼幸
2.潑剌/潑溂
3.下﨟/[下臘]
4.空豁/空闊
5.後裔
6.禅譲
7.襤褸/[藍縷]
8.寰宇
9.震懼 (大見出しで無い)
10.基址/基趾
語選択問題です。
1.十分に足りて豊かであること。
2.事実を曲げて言うこと。
3.年月が早く過ぎること。
4.非常によく当てはまること。
5.侵入や拡大などを阻みとどめること。
語群:[いんしん、がいせつ、くげき、こうそう、
せいちゅう、ふせん、ふぼう、ぼうあつ]
6.酒色にふけること。
7.平穏無事であること。
8.追い詰められ苦しむこと。
9.作戦計画を立てるところ。
10.人の罪過などを書きたて責めること。
語群:[いばく、おうのう、きんぱく、こうねい、
たんめん、ちゅうさく、ひっちゅう、ふうてん]
<ヒントの表示>
1.ふせん 2.ふぼう 3.くげき 4.がいせつ 5.ぼうあつ
6.たんめん 7.こうねい 8.きんぱく 9.いばく 10.ひっちゅう
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1.富贍
2.誣妄/誣謗
3.駒隙
4.剴切
5.防遏
6.耽湎
7.康寧 (大見出しで無い)
8.窘迫
9.帷幕
10.筆誅
文章題書き取り問題(選択形式)です。
語群(1~5):[いんぎん、えんりゅう、かれん、かんかい、しんい]
◇空腹だったので、脇目もふらずに食事をつづけていたが、背後に視線を感じて振りかえってみると、狭山は寝台の上に片肱を立て、蚕棚から身体を乗りだすようにして、(1.シンイ )と憎悪のいりまじったようなすさまじい眼(まな)ざしでこちらを睨んでいた。思わず床几から飛びあがろうとしたほど兇悪無惨な眼つきであった。
私が振りかえったのを見ると、狭山は急に眼を伏せ、いかにもわざとらしい(2.インギン )さで、「薬缶はストーブの横にある」といいながらクルリと向こうをむいてしまった。歯軋りする音がきこえた。(久生十蘭「海豹島」より)
◇米を主食という言葉は軽々しく用いられているけれども、今も全国を通じて米食率はおそらくは三分の二以内、僅か半世紀以前までは、それが五十%を少し越える程度であり、しかもその中には都市と工場地、貴族富民その他の非農民階級の、米しか食わぬ者の多数を包含していた。主として貧窮のため、年貢の(3.カレン )だったためと、解せられたのにも根拠はあるが、今一つの理由は、是が本来は晴れの日の食べ物であったことで、年に幾度の節日祭日、もしくは親の日・身祝い日だけに、飽くまでそれを飲み食いして、身も心も新たにしようという趣旨が、古くからついて廻っていたことは、決して水田に乏しい地方だけに限らなかったのである。(柳田国男「海上の道」より)
◇大正十三年正月五日、智学田中先生の懇招に応じて、伊豆修善寺を発して三保の最勝閣に赴く。この行父母を奉じ、妻子と伴なり。(4.エンリュウ)五日、或いは晴れ、或いは雨。而も不二の観望第一なる有徳の間の朝夕は我をして(5.カンカイ )禁ぜざらしむ。(北原白秋「海阪」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[かきょ、たんざ、たんたん、にゅうぜい、わいざつ]
◇藤吉は微笑んだ。が、眼だけは笑いに加わらなかった。笑わないどころか、(6.タンタン )としてあたりを睨め廻していた。(林不忘「釘抜藤吉捕物覚書 -無明の夜-」より)
◇可哀そうなのは、作家である。うっかり高笑いもできなくなった。作品を、精神修養の教科書として取り扱われたのでは、たまったものじゃない。(7.ワイザツ )なことを語っていても、その話手がまじめな顔をしていると、まじめな顔をしているから、それは、まじめな話である。笑いながら厳粛のことを語っていても、それは、笑いながら語っているから、ばかばかしい噓言である。おかしい。…(中略)…
作家は、いよいよ窮屈である。何せ、眼光紙背に徹する読者ばかりを相手にしているのだから、うっかりできない。あんまり緊張して、ついには机のまえに(8.タンザ )したまま、そのまま、沈黙は金、という格言を底知れず肯定している、そんなあわれな作家さえ出て来ぬともかぎらない。(太宰治「一歩前進二歩退却」より)
◇四カ月半ばかりの後、或る人の世話で、優善は本所緑町の安田という骨董店に(9.ニュウゼイ)した。安田の家では主人礼助が死んで、未亡人政が(10.カキョ )していたのである。しかし優善の骨董商時代は箱屋時代より短かった。それは政が優善の妻になって間もなくみまかったからである。(森鷗外「渋江抽斎」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.瞋恚/嗔恚
2.慇懃/[殷勤]
3.苛斂
4.淹留/[延留]
5.感懐
6.眈眈
7.猥雑
8.端座/端坐
9.入贅 (大見出しで無い)
10.寡居
対義語・類義語問題です。1~5が対義語、6~10が類義語の問題です。
1.壅蔽 2.乳臭児 3.流入 4.追随 5.大牢
6.宣揚 7.配流 8.書尺 9.傷痕 10.軟貨
語群:[がんしん、きしゅく、きょうどう、さっかい、しゃしゅつ、
そうはん、そし、ちょしょう、ひょうぼう、へんたく]
<ヒントの表示>
1.さっかい 2.きしゅく 3.しゃしゅつ 4.きょうどう 5.そし
6.ひょうぼう 7.へんたく 8.がんしん 9.そうはん 10.ちょしょう
<解答の表示>
1.鑿開
2.耆宿
3.瀉出
4.嚮導
5.疏食/疎食/麤食/[蔬食]/[粗食]
6.標榜
7.貶謫
8.雁信 (大見出しで無い)
9.瘡瘢/創瘢
10.楮鈔
語選択問題です。
1.落とし穴。
2.すばやく、荒々しく強いこと。
3.手を打って喜び踊ること。
4.あわれみ思いやること。
5.書き物の切れ端。
語群:[いえつ、かんせい、けいけん、すいぶ、
ひょうかん、びんりょう、べんぶ、れいぼく]
6.田舎びてあかぬけないこと。
7.水が勢いよくわき出ること。
8.筆の別称。
9.神仏や祖先などを、謹みまつること。
10.燃えて無くなること。焼き尽くすこと。
語群:[きょうゆう、けんせん、じんめつ、せんかん、
ひり、へきすう、ほうし、もうえい]
<ヒントの表示>
1.かんせい 2.ひょうかん 3.べんぶ 4.びんりょう 5.れいぼく
6.ひり 7.きょうゆう 8.もうえい 9.ほうし 10.じんめつ
<解答の表示>
1.陥穽/[坎穽]
2.剽悍/慓悍
3.抃舞
4.憫諒
5.零墨
6.鄙俚
7.洶湧/洶涌
8.毛穎
9.奉祀/奉祠
10.燼滅
文章題書き取り問題(選択形式)です。
語群(1~5):[あいしょう、いんかん、ひせい、ふうかん、ほうじゅう]
◇事実、将軍としての彼は、無能であったらしく、治蹟の見る可きものなく、寵嬖政治に堕して居る。併し何と云われても、信頼する事の出来ない重臣に取り捲かれて居るより、(1.アイショウ)寵臣の側に居た方が快適であるし、亦安全であるに違いない。(2.インカン )遠からず、現に嘉吉元年将軍義教は、重臣赤松満祐に弑されて居るのである。
亦飢饉時の普請にしても、当時後花園天皇の御(3.フウカン )に会うや、直ちに中止して居る。これなどは、彼の育ちのよいお坊ちゃんらしさが、よく現れて居て、そんなにむきになって批難するにはあたらないと思う。
所詮彼は一箇の文化人である。近世に於ける趣味生活のよき紹介者であり、学芸の優れた保護者である。義満以来の足利氏の芸術的素質を、最もよく相続して居る。天下既に乱れ身辺に内戚の憂い多い彼が、纔かに逃避した境地がその風流である。特に晩年の(4.ホウジュウ)と驕奢には、政治家として落第であった彼の、ニヒリズムが暗澹たる影を投げて居る。
故に表面的な驕奢と(5.ヒセイ )の故に、義政を以て応仁の乱の責任者であると断ずるは、あたらない。彼は寧ろ生まる可き時を誤った人間である。借金棒引きを迫って、一揆の頻発した時代だ。天下既に大変革を待って居たのである。
(菊池寛「応仁の乱」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[くそ、けんさん、とうてん、りくぞく、れんよ]
◇旅行したい、どこへ行きたいも、うたにうたっているだけで、「院ノ庄」の一章も、つい回を追ってしまった。
元弘の年、後醍醐の(6.レンヨ )が通った姫路、杉坂、津山などの中国地方は、以前、宮本武蔵を書いていたころ、英田川あいだがわを中心に、かなり歩いた。もう二十余年も前にはなるが。(吉川英治「随筆 私本太平記」より)
◇かくて無上の面目を施した翁は四月六日東京出立、同二十七日無事帰県したが、この時の上京を前後として翁の芸風が漸く円熟期に入ったものではないかと思われる理由がある。勿論翁の斯道に対する(7.ケンサン)と、不退転の猛練習とは晩年に到っても懈る事がなかった筈であるが、しかしこの以後の修養は所謂悟り後の聖胎長養時代で、この前の六十余年は翁の修業時代と思うのが適当のようである。
すなわち翁はこの前後に重き習い物の能を(8.リクゾク)と披露している。
明治六年(五十七歳)望月/同七年(五十八歳)正尊、景清/同十一年(六十二歳)卒都婆小町/同十三年(六十四歳)石橋(前記)/同十四年(六十五歳)赤頭道成寺、定家
この明治十四年の「定家」披露後は明治二十五年まで(翁六十五歳より七十六歳に到る)格別の事もなかったらしい。何等の記録も残っていないが、しかもこの十年ばかりの間こそ、翁が芸道保存のために最も惨澹たる(9.クソ )を嘗めた時代で、同時に翁の真面目が最もよく発揮された時代であった。
明治十四年から同二十五年の間といえば、維新後(10.トウテン)の勢いを以て日本に流れ込んで来た西洋文化の洪水が急転直下の急潮を渦巻かせている時代であった。人間の魂までも舶来でなければ通用しなくなっていた時代であった。(梅津只圓翁伝「夢野久作」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.愛妾
2.殷鑑 (単独では大見出しで無い)
3.諷諫
4.放縦
5.秕政
6.輦輿
7.研鑽
8.陸続
9.苦楚
10.滔天
対義語・類義語問題です。1~5が対義語、6~10が類義語の問題です。
1.微恙 2.巨船 3.蕭然 4.遵従 5.具足
6.叡慮 7.彷徨 8.鶴首 9.邦畿 10.具足
語群:[かいれい、かっちゅう、ぎょうぼう、けつい、しんきん、
でんぷく、とうねつ、ばんかん、びょうあ、へんしゅう]
<ヒントの表示>
1.びょうあ 2.へんしゅう 3.とうねつ 4.かいれい 5.けつい
6.しんきん 7.ばんかん 8.ぎょうぼう 9.でんぷく 10.かっちゅう
<解答の表示>
1.病痾
2.扁舟
3.鬧熱 (大見出しで無い)
4.乖戻
5.欠遺/闕遺 (大見出しで無い)
6.宸襟
7.盤桓
8.翹望
9.甸服
10.甲冑
語選択問題です。
1.自分の才能や学問を実力以上に誇示すること。
2.あわれみめぐむこと。
3.意味をおし広めて詳しく説明すること。
4.国家の大計や後世の政治の手本となる教え。
5.仲たがいのはじまり。
語群:[えんぎ、きょうじゅつ、きんたん、げきしょう、
げんよう、しい、ぼくん、れんびん]
6.はじて怒ること。
7.ねごと。たわごと。
8.つなぎとめること。
9.うらみなげくこと。
10.味わいあるおもむき。
語群:[きたん、きび、けっさつ、さたん、
ざんい、じょうち、ちょうこん、びご]
<ヒントの表示>
1.げんよう 2.きょうじゅつ 3.えんぎ 4.ぼくん 5.きんたん
6.ざんい 7.びご 8.きび 9.ちょうこん 10.じょうち
<解答の表示>
1.衒耀
2.矜恤
3.衍義
4.謨訓
5.釁端
6.慙恚
7.寐語
8.羈縻
9.悵恨
10.情致
文章題書き取り問題(選択形式)です。
語群(1~5):[ぞうふ、そうらい、とうさ、めいみゃく、もくと]
◇予が嘉峪関をこえて新疆を横断し、カラコルム山脈を超越しおわりしまでに費したる日数、約三百日、その間親しく天山山脈に沿う高原を視察し、タリム河に瀕する平野を(1.トウサ )して、耳聞(2.モクト )したる結果は、五十八万方マイルの大宝庫、古来蛮雲のとざす所となりて、空しく(3.ソウライ )に委し、二百万の生霊、なお瘴烟の裡に包まれて、いたずらに混沌として睡眠するの憐れむべき情態にあると同時に、新疆の運命すこぶる悲観すべきものあるに想到し、うたた感慨に堪えざるなり。請う少しくその理由を説かん。
おもうに新疆の(4.メイミャク)は、一にイリによりて繫がれ、イリは実に新疆の胴腹にさしたる一楔木にしてその死活を左右す、この楔木一たび他国の握る所となり、もって深く新疆の(5.ゾウフ )をえぐらば、新疆あに全きをえんや。(日野強「新疆所感」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[すいぜん、ちゅうさつ、とうかん、へいどん、まいしん]
◇清廷が特に将軍をイリに(6.チュウサツ)せしめて、辺防に任ぜしむるゆえんのものは、もとより偶然にあらず。しかるに露国は野心を中央アジアに逞しゅうせんと欲するここに年あり、いやしくも機会の乗ずべき、口実の藉るべきあらば、ただちにこれを捉うるに躊躇することなく、これがためにはあらゆる手段と方法とを講じて、着々その目的に向かいて(7.マイシン )し、また寸壌尺地の微といえどもこれを(8.トウカン )に付することなし。新疆の如きまた彼が多年(9.スイゼン )する所にして、これがためには新疆の死命を制しある伊犂を(10.ヘイドン )するのもっとも捷路たるべきは、彼がすでに看破したる所ならざらんや。(日野強「新疆所感」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.踏査
2.目睹/[目覩] (大見出しで無い)
3.草萊
4.命脈
5.臓腑
6.駐箚/駐紮
7.邁進
8.等閑
9.垂涎
10.併吞/幷吞
来週、再来週も同じ文章の続きから出題しますので、原文の検索などされる場合にはご注意ください。
対義語・類義語問題です。1~5が対義語、6~10が類義語の問題です。
1.旭日 2.序詞 3.徐行 4.福祚 5.充盈
6.深谷 7.盗賊 8.算盤 9.謔浪 10.謝物
語群:[かいかい、かおう、がちゅう、けいがく、けつじん、
しそう、しへい、せっき、ばつぶん、りょくりん]
<ヒントの表示>
1.せっき 2.ばつぶん 3.しそう 4.かおう 5.けつじん
6.けいがく 7.りょくりん 8.がちゅう 9.かいかい 10.しへい
<解答の表示>
1.夕暉
2.跋文
3.駛走
4.禍殃
5.竭尽
6.渓壑/谿壑
7.緑林
8.牙籌
9.詼諧
10.贄幣 (大見出しで無い)
語選択問題です。
1.狭くむさくるしい町。
2.たよりにすること。
3.防備のための囲い。また、皇室を守る人。
4.踏みにじること。
5.あたりを見回すこと。また、躊躇うこと。
語群:[いしゃ、きょうあい、こぼう、しょうひょう、
はんり、ひょうりゃく、りょうれき、ろうこう]
6.果てしなく広がっているさま。
7.意のままに扱うこと。
8.書物などを繰り返し読み身につけること。
9.世の中が治まって平和であること。
10.しとやかな姿。
語群:[えんぼう、えんよう、かいらい、きんしょう、
しょうしゅう、せいねい、びたい、びょうまん]
<ヒントの表示>
1.ろうこう 2.いしゃ 3.はんり 4.りょうれき 5.こぼう
6.びょうまん 7.きんしょう 8.しょうしゅう 9.せいねい 10.えんよう
<解答の表示>
1.陋巷
2.倚藉
3.藩籬
4.陵轢/凌轢
5.顧望 (大見出しで無い)
6.渺漫
7.擒縦
8.誦習
9.静寧/靖寧 (大見出しで無い)
10.婉容
文章題書き取り問題(選択形式)です。
語群(1~5):[ちゅうよう、ちんにゅう、どうは、へきえき、ほうぼう]
◇往年露国が回教徒の騒乱に乗じて、イリ一帯の地方を占領し、後里瓦斉亜(リワヂヤ)条約を訂結するに際し、種々の条件を提出して、占領地の還付を快諾せざりしは、たまたま、もって露国の伊犂に対する野心の存する所をみるに足るべし。当時リワヂヤ条約の批准に反対したる左宗棠が奏議中、左の一節あり。いわく、『さきに中国、露国と相接せず、蒙古、カザク、ブルト、コーカンドをもって遮蔽間隔をなせしに、露国は種々の口実を設けて、彼等を誘惑し、ついにこれを領有し、ますます辺境を開拓して、中国と相接し、また隔絶する所なきにいたれり。道光(注)の(1.チュウヨウ)以降、泰西各国の船舶、中国の近海に横行し、後、長江に(2.チンニュウ)せりといえども、その求めんと欲する所は、通商口岸の一事に過ぎず、何ぞあえて土地を利せんとするにあらんや。ひとり露国はわずかに天山の北幹を隔てて、前にジェンガルおよび回部と雑居せるカザク、ブルト、コーカンド等の部落を見て、もってすでにその有とす』云々。露国の隠謀を(3.ドウハ )してあまりありというべし。李鴻章の如きは、露国の仮装的強硬の態度に(4.ヘキエキ )し、むしろ新疆を放棄して後難を除くの得策たるにしかざるの意見を有せしも左宗棠の炯眼なる、夙に露国の野心を測り知るべからざるを看破し、断然李鴻章等の意見に反対し、『新疆一たび露国の手に帰せんか、甘粛、陝西、山西等の辺防ますます緊要を告げ、直隷また枕を高うするを得べからず。一を守るの勇なきもの、いずくんぞ両三を守るを得んや』と極論して、廟議ついに条約を破棄し、開戦に決せしめたり。露国をしてリワヂヤ条約を修正し、ついにイリ一帯の占領地を清国に還付せしめたるは、当時トルコとの紛擾ありて、多少露国の(5.ホウボウ )を鈍らしめたるによるといえども、そもそもまた左宗棠の讜言(とうげん)大いに力ありしにあらざらんや。(注:元号の一。)(日野強「新疆所感」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[しゅくし、はいじく、びまん、ふしょく、ほぶ]
◇しかれども露国の執拗なる、一頓挫のために(6.シュクシ)を放棄するものにあらず、鋭意イリに対する施設経営の(7.ホブ )を進め、露国の勢力がイリ一帯の地に(8.ビマン )しつつあるは、ひとたびイリの地を踏む者の一驚を喫する所なり。たまたま日露戦役において、(9.ハイジク)の辱めをこうむりし結果、多大の障碍を受けて、…(中略)…一時慎重の態度を装うといえども陰にその爪牙を磨き、孜々として勢力(10.フショク)の道を講じ今や漸次再びその萌芽を発せんとするもの少からざるを覚ゆ。(日野強「新疆所感」より)
<ヒントの表示(6~10)>
<解答の表示>
1.中葉
2.闖入
3.道破
4.辟易
5.鋒鋩/[鋒芒]
6.宿志/[夙志]
7.歩武
8.弥漫/瀰漫
9.敗衄
10.扶植
来週も同じ文章の続きから出題しますので、原文の検索などされる場合にはご注意ください。
対義語・類義語問題です。1~5が対義語、6~10が類義語の問題です。
1.定住 2.総領 3.軽科 4.穎悟 5.遺忘
6.衰世 7.蕭寥 8.官庁 9.号泣 10.妨礙
語群:[がもん、きし、ぎょうまつ、げきせき、じゅんきょ、
せいちゅう、せんろく、たいへき、ていこく、どどん]
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1.じゅんきょ 2.きし 3.たいへき 4.どどん 5.せんろく
6.ぎょうまつ 7.げきせき 8.がもん 9.ていこく 10.せいちゅう
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1.鶉居
2.季子
3.大辟 (大見出しで無い)
4.駑鈍
5.鐫録
6.澆末
7.闃寂
8.衙門
9.啼哭
10.掣肘
(お知らせ)
今季の「分野別対策」は今週で終了です。
来週は「H30-1直前模試」を公開します。
語選択問題です。
1.虫の息。
2.無能な者が才能があるかのように装うこと。
3.長く会わないこと。
4.話などの次第におもしろくなる部分。
5.ほしいまま。
語群:[きょごう、ぎんしょう、しし、しゃきょう、
そかつ、べいべつ、よぜん、らんすい]
6.学徳の備わった老学者。
7.あきて疲れること。
8.英才や美人の死。
9.力を比べること。
10.草花などの良いにおいがすること。
語群:[かくてい、きじゅ、けんち、けんぱい、
じんすい、せきとく、ほうひ、まいぎょく]
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1.よぜん 2.らんすい 3.そかつ 4.しゃきょう 5.しし
6.きじゅ 7.けんぱい 8.まいぎょく 9.かくてい 10.ほうひ
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1.余喘
2.濫吹
3.疎闊/疏闊
4.蔗境
5.恣肆
6.耆儒
7.倦憊
8.埋玉
9.角觝/角抵
10.芳菲
(お知らせ)
今季の「分野別対策」は今週で終了です。
来週は「H30-1直前模試」を公開します。
文章題書き取り問題(選択形式)です。
語群(1~5):[きぜん、けいこつ、じゅへい、どど、ひょうはく]
◇なかんずく吾人のもっとも視聴を驚かせしはタシケント地方よりトムスク市に達する鉄道(アルタイ線)布設の計画、いよいよ実行せられんとするの一事なりとす。その鉄道の敷設がイリに如何の関係をおよぼすべきやは、吾人の(1.ドド )するを待たず、露国の有名なる政治家ミハイル、セリホフ氏がその鉄道に関する説明にてこれをつくせり。氏はまずその鉄道の敷設をもって、露領中央アジアにおける殖産興業を啓発し、民衆の移殖を増進するのみならず、また軍事上極めて重要なりとするゆえんを説き、さらに一歩を進めていわく。
吾人は東方における有事の日、その鉄道は、わが辺境を掩護するため、軍事上決してこれを(2.ケイコツ )に付すべからざるを警告せんと欲す。露骨に(3.ヒョウハク)すれば、その鉄道は露国の国境をして、漸次南方に拡張するがために、極めて須要なるものといわざるべからず。…(中略)…
これ明らかに露国の野心を暴露して、遺憾なきものにあらずや。もしそれタシケント、トムスク鉄道にして、完成せらるるの暁にいたらば、これすなわちイリの側面を近く脅威せられたるに等しくイリは漸次に露国の侵蝕をこうむるべきは、ほとんど疑いをいれず。いわんやイリ地方は、露領セミレチエンスカヤ州と、イリ河の河盂によりて連接し露国よりの侵入容易なること、なお黒龍江河盂に沿える満洲に異ならざるにおいてをや。イリの運命あにひとり第二の満洲たらざるを得んや。さらに翻って兵略上より観察せんに、露国もしその首力をイリに進めて新疆を中断し、一支隊をタルバガタイに送りて、西湖を占領し、更に一支隊をザイサン湖方面より出して故城に進め、別働隊をカシガル方向より送り、南北相呼応して新疆を蹂躪する有らば、その結果はたして何ぞや。ことに新疆全土の(4.ジュヘイ )わずかに六千を越えず、しかも脆弱恃むにたらず。想うてこれにいたれば、吾人は新疆の運命に関して、(5.キゼン )長大息せざるを得ず。(日野強「新疆所感」より)
<ヒントの表示(1~5)>
語群(6~10):[かき、けいせい、しとう、はいき、ゆうこ]
◇試みに地形上より観察すれば、新疆は清国に属するよりは、むしろ露国領、トルキスタン地方に付随するの(6.シトウ )なるは、何人といえども異議をはさむの余地なかるべきのみならず、その人種より論ずるも、言語、宗教よりみるも、また風俗、習慣より察するも、トルキスタン地方に酷似するを認む。加うるに交通の関係上、およびトルキスタン地方との商業的経済上の関係は、近時ますます、接近の度を増進しきたり、地方の住民は、次第に露人と親しみ、かえって清国に対して反抗せんとするの傾向あるより推論しきたれば、新疆が遠からずして露国の膝下に(7.ハイキ )するにいたるの日あるべきは、燎々火を観るよりも明なり、いわんや露国が鋭意その心血を傾注して、その勢力扶植の策を講じつつあるにおいてをや。おしいかな清国いまだ悟らず、晏然長夜の昏睡中にあること。
さらに転じて西南の境土を望めば、崑崙山脈を隔てて英領印度あり。英国がインドを根拠として、つねに露国の中央アジア経綸に対抗し来れるは、一朝一夕の事にあらず。由来パミール高原は、(8.カキ )の伏在するの地、しかも新疆と相接壌するが故に、露国が指を新疆に染めんと欲すれば、英国あに黙してやむべけんや。形勢の変化は、もと意外のあたりより急転し来ることあり。現今いまだ危機の切迫せるものあるを見ずといえども、パミール問題忽然としておこらば、新疆もまたその渦中に投入せらるるなきを保すべからず。清国人たる者よろしくいまだ雨ふらざるに(9.ユウコ )を綢繆するを要するとともに、わが国(10.ケイセイ)の士、また多大の注意を払わずして可ならんや。(日野強「新疆所感」より)
<ヒントの表示(6~10)>
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1.呶呶
2.軽忽
3.表白
4.戍兵 (大見出しで無い)
5.喟然
6.至当
7.拝跪
8.禍機 (大見出しで無い)
9.牖戸 (大見出しで無い)
10.経世
(お知らせ)
今季の「分野別対策」はこの記事が最後です。ありがとうございました。
来週は「H30-1直前模試」を公開します。
「分野別対策」シリーズの「その13」~「その18」の問題を纏めたPDFを公開します。
PDFに関する注意点は「
分野別対策(1~6)」と同じですので、詳しくはそちらの記事をご覧ください。
目次と簡単な説明のみ以下に示します。
P1:「対義語・類義語問題 その13~その18」
(問題)P2:「語選択問題 その13~その15」
(問題)P3:「語選択問題 その16~その18」
(問題)P4:「文章題書き取り問題 その13」
(問題)P5:「文章題書き取り問題 その14」
(問題)P6:「文章題書き取り問題 その15」
(問題)P7:「文章題書き取り問題 その16」
(問題)P8:「文章題書き取り問題 その17」
(問題)P9:「文章題書き取り問題 その18」
(問題)--------------------------------------------------
P10:「対義語・類義語問題 その13~その18」
(解答)P11:「語選択問題 その13~その18」
(解答)P12:「文章題書き取り問題 その13~その18」
(解答)(問題の掲載順序が記事の公開順序とは異なりますのでご注意ください。)
文章題書き取りの形式:
A→通常書き取り、
B→語選択書き取りダウンロードはコチラから↓
http://ux.getuploader.com/spaceplus01/時間が経って見つけられない時のために、「分野別対策」の検索結果画面をリンクしておきます。→
コチラ明日には「四字熟語特訓」のPDFを公開予定です。